最新記事

米大統領

当選から1年、トランプの成績表

2017年11月21日(火)18時00分
ニューズウィーク日本版編集部

選挙中は大胆な公約を掲げたトランプだが Andrew Kelly-REUTERS

<トランプが勝利した昨年の大統領選から1年――選挙期間中にトランプが掲げた大胆な公約が実現したか、していないか、チェックしてみると......>

世界中に激震が走った「あの日」から1年。ヒラリー・クリントンとのデッドヒートを制して第45代アメリカ大統領に選出されたドナルド・トランプは、国内外でさまざまな物議を醸しながらもその重責を担ってきた。選挙戦のさなかに支持者を熱狂させたトランプの大胆な公約の中には、大統領令によって実現したものもあれば、議会に阻止されて頓挫したものもある。主な公約の進捗状況をチェックしてみよう。

実現できた公約

★最高裁判事に保守派を指名
出だしからトラブル続きのトランプ政権にとって、最初の明確な勝利の1つが連邦最高裁判事の人事だ。共和党が多数派を占める上院はオバマ政権が指名した穏健派判事の承認を先延ばしにしていた。銃の所持を認める「合衆国憲法修正第2条を尊重する」判事の登用を公言していたトランプは、その空席に保守派のニール・ゴーサッチを指名。4月に上院で承認された。

★パリ協定からの離脱
かねてから地球温暖化は作り話だと訴えてきたトランプは、気候変動対策の新たな国際的枠組みであるパリ協定についても、アメリカ経済の成長を阻む規制だとの批判を展開。今年6月に正式に離脱を表明した。脱退が実現すれば、パリ協定に参加していないのは世界第2位の温室効果ガス排出国アメリカだけになる。

★環境規制を緩和する
カナダからテキサス州のメキシコ湾岸に原油を運ぶ「キーストーンXLパイプライン計画」を、オバマ政権は環境への影響などを理由に却下していた。しかし、この方針の撤回を公約に掲げていたトランプは就任早々に計画を推進する大統領令に署名。環境への悪影響はなく、多くの国内雇用を生み出す施策だと主張するが、米環境保護局(EPA)は異議を唱えている。

★不法移民を強制送還
不法移民はアメリカから「出ていけ」と繰り返していたトランプ。強制送還の対象者は全ての不法移民1100万人以上から犯罪歴のある約80万人に絞られたものの、当局に身柄を拘束され国外追放されるケースは増加している。特に注目されるのは、15歳以下で入国した不法移民の強制送還を免除するオバマ時代の救済措置の行方。トランプはこの措置の撤回を発表したが、議会では協議が続いている。

★自由貿易と距離を置く
トランプは自由貿易推進の要であるTPP(環太平洋経済連携協定)やNAFTA(北米自由貿易協定)を否定し、保護主義を通じた貿易赤字の解消とアメリカ人の雇用拡大を公約に掲げた。就任からわずか数日後には、TPPを離脱する大統領令に署名して関係各国を驚かせた。NAFTAについても再交渉が続いており、11月半ばから第5回会合が行われる予定だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英中銀ピル氏、QEの国債保有「非常に低い水準」まで

ワールド

クラウドフレアで障害、数千人に影響 チャットGPT

ワールド

イスラエル首相、ガザからのハマス排除を呼びかけ 国

ビジネス

ユーロ圏銀行、資金調達の市場依存が危機時にリスク=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中