最新記事

中朝関係

北朝鮮を20年も放置した中国は責任を取るべき

2017年9月16日(土)16時00分
ケリー・ブラウン(ロンドン大学キングズ・カレッジ教授)

中国の習近平国家主席には、北朝鮮に圧力をかけることが求められている REUTERS

<中国はもう今までのように北朝鮮を「弟分」としては扱えない。外交姿勢を改め、北に働き掛ける時が来た>

弾道ミサイルの日本上空通過や水爆実験とされる行為によって、北朝鮮が目指す方向は鮮明になってきた。

北朝鮮は20年間にわたり国際的な経済制裁を受け、今の人口はわずか約2500万、1人当たりGDPも世界最低水準にある。ところが誰にも予想できないほど素早く効果的に、核戦力に近いものを手に入れたようだ。

ここに至る責任の大半は、過去20年間の中国指導層にある。中国政府は隣接する北朝鮮に対し、貿易、援助、エネルギー事情を通じて多大な影響力を持ちながら、強い対応を取るべきときになると尻込みをしてきた。

そんな受け身の姿勢が招いたのが今日の状況だ。中国が国境を接する核保有国の一群(インド、ロシア、パキスタン)に北朝鮮も加わろうとしている。中国にしてみれば、地理的にこれ以上の悪夢はない。

核武装した北朝鮮の存在など、中国にとって何もいいことがない。周辺地域は一段と不安定になる。世界の大国になるという中国の計画も、これで危うくなる。中国が強大な国家の座を取り戻そうというときに、他の近隣諸国との関係が悪化してしまう恐れもある。

北朝鮮は他国と同じく中国に対しても、瀬戸際外交や権謀術数を駆使してきた。原理原則のない外交の根底にあるのは、金王朝の延命だけだ。北朝鮮の考えでは、核戦力さえあれば外国に手を出されずに済む。

共産主義体制を共通点とする中国の指導層は過去20年間、温情主義を持って北朝鮮の支配者を「弟」のように扱ってきた。近年も北はかたくなだから追い詰めると逆効果だと釈明し、圧力をかけずに穏便な方法を取るべきだと主張した。その結果どうなったかは、既に明らかだ。

【参考記事】中国は北朝鮮に侵攻して核兵器を差し押さえるか?

隣国の制御は自国の利益

繰り返される挑発と瀬戸際外交にまんまとやられたと認めるには、中国の指導層はプライドが高過ぎる。しかし中国は、北朝鮮問題に最も近いところにある国の1つだ。状況が制御不能に陥ったときに最大の被害を受ける国の1つでもある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

LNGカナダが増産、アジア向け輸出拡大 イラン攻撃

ワールド

豪中銀、来週利上げの見方強まる エコノミストが予想

ビジネス

米コールズ、26年売上高は最大2%減 利益見通しも

ワールド

イスラエル軍、レバノンで違法に白リン弾使用=国際人
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開された皇太子夫妻の写真が話題に
  • 4
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 5
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 6
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目…
  • 7
    人間ダンサーを連れて「圧巻のパフォーマンス」...こ…
  • 8
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 9
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 10
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 4
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中