最新記事

英王室

【写真特集】公務引退の英王室フィリップ殿下、帽子にみる装いの粋

2017年8月10日(木)15時40分
ニューズウィーク日本版編集部

<頼れるポーラーハット>最後の公務でかぶったこの帽子は、19世紀半ばに英国で誕生。地味なスーツやコートもクラシックな装いに引き上げる便利アイテムとして、フィリップもよく活用した Hannah Mckay-REUTERS

<先頃、公務から引退したエリザベス女王の夫フィリップ殿下。英国紳士らしい装いが評判だが、その背景には外国王家出身ゆえの苦労があった>

英王室のエリザベス女王が52年に即位して以来、妻を支えてきたエディンバラ公フィリップ殿下(96)が8月2日、ついに公務から引退した。女王の公務に同伴する以外にも、単独で行った公務は2万2000回以上。2日は雨の降るなか、海兵隊の閲兵式に出席した。最後に、愛用のボーラーハット(山高帽)を取って声援に応えた姿は、多くの人の記憶に刻まれただろう。

英王室のファッションでは女王が注目されがちだが、実はフィリップ殿下も洗練された着こなしで有名。16年に英GQ誌が行った「イギリスで最もおしゃれな男性トップ50」では、孫のウィリアム王子やヘンリー王子を抜いて12位に。「常に英国的で男らしく、立場をわきまえた装い」とデザイナーのジョン・レイが評するとおり、正装もカジュアルも英国らしさにとことんこだわる正統派。

スーツは40年以上、ロンドンの同じテーラーで仕立て、愛用の帽子もボーラーハットやハンチング帽など「英国生まれ」ばかりだ。

【参考記事】ヘンリー王子が語った母の死と英王室(前編)

こうした強いこだわりは「よそ者」としての苦労から生まれたのかもしれない。もとはギリシャ王室の王子として生まれ、ドイツやロシアにも血統がつながることから、結婚する際もさまざまな壁に直面した。英国人らしく装い、振る舞うことで誰もが認める「女王の夫」になろうとしたのかもしれない。その努力は見事に報われた。


magw170810-pillip02.jpg

<ハンチング帽の粋>ツイードのジャケットなどカジュアルな服装には、ハンチング帽を合わせて英国トラッドの魅力を追求。好きな服は何度も直して愛用するタイプ(結婚当初から着ているものも) Tim Graham/GETTY IMAGES


magw170810-philip02.jpg

<シルクハットで「女王の夫」の存在感>英上流階級の正装に欠かせないシルクハットは、華やかな行事でよく登場。女王より目立たないように、でも「その他大勢」とも一線を画す計算が見え隠れする Ray Bellisario-Popperfoto/GETTY IMAGES


magw170810-philip03.jpg

<軍服X帽子姿も優雅>英ダートマス海軍兵学校を卒業後、第2次大戦に従軍した元軍人だけあって軍服がよく似合う(写真は49年) Keystone France-Gamma Rapho/GETTY IMAGES


mag170810-philip04.jpg

<ベアスキン帽で伝統をアピール>イギリスの近衛兵におなじみのこの帽子のように、コスプレ感あふれるファッションも英国の伝統に倣ったものなら躊躇なく着用。クマの毛皮でできているので重そうだけど...... Max Mumby-Indigo/GETTY IMAGES

【参考記事】エリザベス女王91歳の式典 主役の座を奪ったのはあの2人

<本誌8月8日発売最新号掲載>

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米雇用4月17.7万人増、失業率横ばい4.2% 労

ワールド

カナダ首相、トランプ氏と6日に初対面 「困難だが建

ビジネス

デギンドスECB副総裁、利下げ継続に楽観的

ワールド

OPECプラス8カ国が3日会合、前倒しで開催 6月
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 4
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 5
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 6
    宇宙からしか見えない日食、NASAの観測衛星が撮影に…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    金を爆買いする中国のアメリカ離れ
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中