最新記事

アメリカ政治

政権運営能力欠如したトランプ 共和党の我慢もレッドライン越えか

2017年8月1日(火)09時16分


オバマケア改廃ならず

オバマケアについて、トランプ氏は共和党上院議員に電話して廃止への支持を呼びかけたが、失敗に終わった。支持率が40%を切った大統領であれば、恐れるに足らないと見られている証拠だ。

穏健派の共和党下院議員、チャーリー・デント氏は「(オバマケア)問題は議会に下請けに出された。大統領は熱心に売り込まなかった。これが失敗の一因だったと考えている」と述べ、トランプ氏の怠慢が改廃の努力に水を差したとの見方を示した。

上院での審議がヤマ場に差し掛かっていた折も折、新広報部長のスカラムチ氏は雑誌のインタビューで、プリーバス氏に加えてバノン首席戦略官兼上級顧問を汚い言葉で非難し、首都ワシントンの注目を一身に集めた。側近らはあっけに取られ、仕事の手を止めてオンラインの記事に読みふけった。

今のところトランプ氏はスカラムチ氏を処罰しておらず、ホワイトハウス内では懸念と困惑が広がっている。

元ホワイトハウス報道官のアリ・フライシャー氏によると、それでもトランプ氏は平気のようだ。「部下の間で派閥争いを煽るのが大統領の運営スタイルのようだ。人が争うのを観戦することに重きを置いているらしい」という。

プリーバス氏の解任以外、トランプ氏がどのような手順で失地回復を狙っていくのかは定かでない。

オバマケア改廃がとん挫した今、大統領は税制改革に狙いを定めているが、その進め方について意見はまとまっていない。減税幅を巡り、側近らの見解は対立している。これはオバマケア改廃法案の行方を決定づけた穏健派と保守派の対立構図にほかならない。

(Steve Holland記者)

[ワシントン 28日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

4月工作機械受注は前年比11.6%減、16カ月連続

ビジネス

楽天Gの1─3月期、純損失423億円 携帯事業の赤

ワールド

プーチン大統領、16-17日に訪中 習主席と会談へ

ビジネス

独CPI、4月改定は前年比+2.4% 速報と変わら
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 5

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 6

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 7

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プー…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    「人の臓器を揚げて食らう」人肉食受刑者らによる最…

  • 10

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中