最新記事

日本経済

アベノミクスは新産業生まず 危機発生ならヘリマネの懸念も

2017年7月12日(水)17時14分

7月12日、慶應義塾大学経済学部の金子勝教授は、ロイターとのインタビューで、これまでのアベノミクスでは古い産業の救済に比重がかかり、新しい産業や雇用があまり生み出されていないため、新たな世界的ショックが発生すると痛手が大きくなるとの見解を示した。写真は都内で2010年8月撮影(2017年 ロイター/Yuriko Nakao)

慶應義塾大学経済学部の金子勝教授は、ロイターとのインタビューで、これまでのアベノミクスでは古い産業の救済に比重がかかり、新しい産業や雇用があまり生み出されていないため、新たな世界的ショックが発生すると痛手が大きくなるとの見解を示した。

そのうえでヘリコプターマネー的な政策が選択される可能性があるが、財政赤字は減らず、成長力も低いままの状況になるとの見通しを示した。

主なやり取りは以下の通り。

──アベノミクスと日銀の非伝統的金融緩和について。

「古い産業を救済する政策ばかりで、前向きな政策がない。日本は過去30年余りの間に金融機関の不良債権問題、原発事故を起こした東京電力<9501.T>の問題など、経営者がだれも責任を取らない中で、公的資金を投与してきた。この結果、産業構造の転換が進まなくなっている」

「日銀のQQE(量的・質的金融緩和)は、本来は2年で2%の物価目標と、短期的な政策で終わるはずだったのに、目標にこだわり続けてここまできた。しかし、FRB(米連邦準備理事会)もECB(欧州中央銀行)も出口に向かい、日銀も否応なしに出口の崖に向かい始めているとみている」

「日銀は他国の政策にかかわりなく、超緩和政策の維持方針を変えていない。今後、さらに緩和を続けて、引き返せない金額になる前に、できるだけ早く、ゆっくりと正常化すべきだ」

──外的ショックを受けた場合、日本経済はどうなるのか。

「今回は、銀行と企業の融資関係で日本経済全体のシステムを壊すパターンではなく、内部留保が少なくなって全体の企業価値が低下し、景況感が悪くなっていくというパターンが想定される。(株や不動産に投資してきた)富裕層にダメージが来るだけではなく、債務を抱える個人も苦しくなり、長くよどんだ不況が表面化してくるだろう」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

仏大統領、中国に関税警告 対EU貿易黒字巡り=仏紙

ワールド

仏大統領、ウクライナ情勢協議へ8日にロンドン訪問 

ワールド

香港議会選の投票率低調、過去最低は上回る 棄権扇動

ワールド

米特使、ウクライナ和平合意「非常に近い」 ロは根本
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中