最新記事

G20

「トランプこそ西側の脅威」--豪記者の辛辣リポートが共感呼ぶ

2017年7月10日(月)18時40分
ハリエット・シンクレア

G20の作業部会に表れた所在なさげなトランプ Markus Schreiber-REUTERS

<G20首脳の間でトランプは仲間はずれで、一部首脳は何とかして彼を避けようとしていた>

先週末ドイツのハンブルクで開かれた主要20カ国・地域(G20)サミットでのドナルド・トランプ米大統領をこきおろした論評が共感を呼んでいる。

オーストラリア放送協会(ABC)の論説委員クリス・ユールマンは中継で、G20でのトランプの様子について「孤立して友人もおらず」「世界の先頭に立ちたいという欲求も知的能力も示さなかった」と酷評した。

ユールマンのリポートはソーシャルメディアで多数シェアされ、3万6000回リツイートされた。

「G20でのトランプは不安そうで、仲間はずれで、ぎこちなかった。一部の首脳は、何とかしてトランプを避けようとしているのがわかった」とユールマンは言った。

「ドナルド・トランプはアメリカが世界のリーダーの座から転げ落ちるための早送りボタンを押した。トランプはアメリカを孤立させ、同盟国を混乱させ敵に回し、アメリカを弱体化させた」

大統領の時間をツイッターで浪費

ユールマンは続けた。トランプは「140文字で不機嫌をぶちまけ、大統領としての貴重な日々を、司法機関や独立した行政機関や報道の自由といった西側の価値観を体現する制度と戦って浪費する男だ」

トランプはG20開催中、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談し、昨年の米大統領選へのロシアの介入を否定したプーチンの説明を受け入れたと報じられた。

G20では、トランプが温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱を表明したことによるアメリカの孤立も鮮明になった。G20参加国のなかでアメリカ以外の19カ国はパリ協定に結束して取り組むと宣言した。また協定は不可逆的でトランプが望むような協定明記した。

トランプが西側諸国を称賛し、その将来に懸念を表明する場面もあったが、ユールマンはトランプこそ「西側の価値にとって最大の脅威」だと言った。

「北朝鮮を非難し、中国とロシアに圧力を与えるはずだったG20の共同声明は一体どこに行ったのか。他国の首脳たちはそれを期待し、支持する準備ができていたが、最後まで出てこなかった」

(翻訳:河原里香)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=小反発、ナスダック最高値 決算シーズ

ワールド

ウへのパトリオットミサイル移転、数日・週間以内に決

ワールド

トランプ氏、ウクライナにパトリオット供与表明 対ロ

ビジネス

ECB、米関税で難しい舵取り 7月は金利据え置きの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 2
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 3
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別「年収ランキング」を発表
  • 4
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 7
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 10
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中