最新記事

イタリア

苦境のアリタリア航空 救済か破たんかに揺れるイタリア

2017年5月7日(日)12時07分

4月29日、イタリアのフラッグキャリア、アリタリア航空が再び経営危機によって急降下するのを目の当たりにした同国の国民の多くが、いっそ「墜落」する方が国のためではないかと考え始めている。写真は2月、ローマの空港を飛び立つアリタリア航空機(2017年 ロイター/Tony Gentile)

イタリアのフラッグキャリア、アリタリア航空が再び経営危機によって急降下するのを目の当たりにした同国の国民の多くが、いっそ「墜落」する方が国のためではないかと考え始めている。

度重なるアリタリア救済のため、過去10年超ですでに総額70億ユーロ(約8540億円)を上回る税金が投入されており、そのことに激怒するイタリアの納税者は、ソーシャルメディアを通じて、再び救済を急ぐ政治的な誘惑に抵抗するよう、政府に呼びかけている。

「有権者にとって、アリタリアは無価値だ。ただの重荷だ」──。アンジェリーノ・ギネッリさんのこうしたツイートに代表されるような怒りの嵐がソーシャルメディアで巻き起こっており、これにはイタリア政界も注意を払わざるを得ない。閣僚は今のところ、何らかの言質を取られないよう消極姿勢を保っている。

今週始まったオンラインでの署名活動には、約1000人の賛同が集まった。その1人、シンツィア・ブリグーリョさんは、「アリタリア救済にはもう、うんざりだ」と書き込み、政府の不介入を求めている。

消費者団体もその動きに同調している。そのうちの1つであるCodaconsは、イタリアの会計検査院に対し、国家によるすべての企業救済を精査するよう迫っている。裁判所は、公金濫用の罪で閣僚を含む公職者に罰金刑を科すことができる。

労組の同意を得た経営陣による再建案が、アリタリア航空内の社員投票で否決された4日後、28日に公表された世論調査では、国民の77%が、アリタリアをそのまま倒産させるべきだと回答している。

「経営危機に瀕した企業に対応するため、政府は着実に財政赤字を積み上げてきた。イタリア国民が反発を感じているのは明らかだ」。同世論調査を担当したインデックス・リサーチでディレクターを務めるナターシャ・トゥラート氏は、調査結果とともにサイト上に掲載されたコメントでそう述べている。

国家支援がなければ、アリタリアは破綻への道をたどることになる。ライバルの航空各社は同社の買収にほとんど興味を示しておらず、24日の社員投票で1700人分の人員削減と給与カットという再建案が否決されたことを受けて、債権者も追加融資を拒んでいる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ボンディ司法長官解任 エプスタイン文書

ワールド

米政権、鉄鋼・アルミ・銅関税引き下げ 派生製品は2

ワールド

ホルムズ海峡「ロシアには開放」=ウシャコフ大統領補

ワールド

ホルムズ開放巡り約40カ国がオンライン会合、英国主
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 2
    破産申請の理由の4割以上が「関税コスト」...トランプ関税が米国民に与える「破産」の苦しみ
  • 3
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受給年齢」
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 6
    日本の男女の賃金格差は世界でも突出して大きい
  • 7
    先進国が出生数の減少を嘆く必要はない? 「経済的…
  • 8
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 9
    「一般市民に敵意なし」...イラン大統領が米国民宛て…
  • 10
    200年前の沈没記録が裏付けられた...捕鯨船を海の藻…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 8
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 9
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中