最新記事

日本経済

金利低下でも伸び悩む日本不動産株、「静かなバブル」崩壊中

2017年4月27日(木)18時34分

4月27日、日本の長期金利は低下傾向を示しているが、東証REIT指数や大手不動産株が伸び悩んでいる。都内で2月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

日本の長期金利は低下傾向を示しているが、東証REIT指数<.TREIT>や大手不動産株が伸び悩んでいる。経済原理が素直に反映されれば、低金利は資金調達コストの低下をもたらし、利益採算を向上させるポジティブ材料。しかし、投資家の目には、一部バブル的な不動産市況の悪化や、中長期的な金利上昇見通しなど、この先の「暗雲」が気がかりと映っているようだ。

空室率改善のカラクリ

三鬼商事が公表する東京都心5区のオフィス空室率は、3月末時点で前月比0.10ポイント低下の3.60%と2カ月連続で改善した。しかし、そこには「カラクリ」があるという。

「東京オリンピックを目指した再開発バブルで、再開発のために壊されるビルのテナントが、空いているビルに移っただけ。需要自体は伸びていないから賃料は上昇しない。この先、ビルのスクラップが徐々に減ってくるので、再開発バブルが崩壊に向かっている」と、ドイツ証券・アナリストの大谷洋司氏は指摘する。

ニッセイ基礎研究所と三幸エステートによれば、どの価格水準で契約したかを示す成約賃料は、延床面積1万坪(3万3000平方メートル)以上などの条件を満たす東京都心部大型ビルで、2015年4─6月期の3万5652円/坪(共益費を除く)をピークに頭打ちの状況が続いている。20年7─9月期の2万7684円まで下落基調が続く見通しだ。

足元の不動産市場はバブル当時のような過熱感はみられないが、リスクマネーは流入している。日銀が2月9日に発表した貸出先別貸出金によると、国内金融機関による不動産向け融資は昨年12月末時点で前年比約7%増の70兆3592億円と過去最高を記録した。

不動産経済研究所によれば、2016年の全国新築マンション1戸当たりの平均価格は前年比1.3%減の4560万円。4年ぶりに下落したものの、バブル期に付けた最高価格である4488万円を上回っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 6
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 9
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 10
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中