最新記事

コンビニ

人件費上昇で苦境のコンビニ業界 「無休」の成長モデルに壁

2017年4月25日(火)14時38分

4月25日、「24時間・365日、いつでも・どこでも」という独特のビジネスモデルで成長してきた日本のコンビニエンスストア業界が曲がり角を迎えている。写真はセブン―イレブンの店舗、都内で昨年4月撮影(2017年 ロイター/Yuya Shino)

「24時間・365日、いつでも・どこでも」という独特のビジネスモデルで成長してきた日本のコンビニエンスストア業界が曲がり角を迎えている。アルバイトを中心とした安価な労働力に依存してきたが、人手不足の影響を大きく受けているためだ。

客数が減少する中で続く出店増でシェアの奪い合いに拍車がかかるなか、「終日営業、年中無休」の看板を維持するための施策も利益を圧迫し始めている。

利益を圧迫する負担軽減策

「ここ1年、人手不足感が強まってきた。ずっと続くと思う」。大手コンビニチェーン、ローソン<2651.T>の加盟店オーナーは状況の厳しさにため息をつく。

業界関係者によると、コンビニは1店当たり平均20人程度のアルバイト・パートを必要とする。1万9423店舗(3月末)を展開する業界最大手のセブン―イレブン・ジャパンでは、約39万人が勤務しているという。

こうしたアルバイトの活用はコンビニの機動的な運営や店舗展開の「武器」となってきた。しかし、足元で人手不足感が強まる中、時給アップなど人材確保のコスト増につながり、各店舗の収益を圧迫しかねない状況だ。

打開策として、セブンは今年9月から加盟店が本部に支払うチャージ率を1%引き下げることを決定、加盟店の負担を軽減する策を打つ。

セブン&アイ・ホールディングス <3382.T>の井阪隆一社長は「急激に人件費上がってきている」と足元の状況に危機感を示し、チャージ率1%引き下げによって「既存店のオーナーの経営意欲の増進、新規オーナーの獲得に向けてひとつのきっかけにしたい」と期待を示す。

9月から実施するチャージ率の1%引き下げは、今期80億円、年間では160億円の営業減益要因となる。セブン―イレブン・ジャパンの18年2月期営業利益予想は前年比0.2%増益予想で、前期の3.6%増から増益幅は大きく縮小する。セブンはチャージ率引き下げのほか、加盟店の負担を軽減や売上増のため、店舗レイアウトの変更や食洗機の導入などを含め1800億円(前期比43%増)の大型投資を実施する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米失業保険継続受給件数、10月18日週に8月以来の

ワールド

米FRB議長人選、候補に「驚くべき名前も」=トラン

ワールド

サウジ、米に6000億ドル投資へ 米はF35戦闘機

ビジネス

再送米経済「対応困難な均衡状態」、今後の指標に方向
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中