最新記事

コンビニ

人件費上昇で苦境のコンビニ業界 「無休」の成長モデルに壁

2017年4月25日(火)14時38分

加盟店支援のための投資を増やすのは、セブンイレブンだけではない。ローソンは、タブレットや自動釣銭機の導入、次世代システムなど、競争力強化に向けた投資を先行させるため、18年2月期の営業利益は7.1%減と15期ぶりの減益を余儀なくされる。

竹増貞信社長は「単年度で増益を目指すよりは、ローソンとしてどういう姿を目指すか、どういうことをするか、是々非々で向き合う。やるべき投資をしっかりやって、結果を出していく」と覚悟を示す。

みずほ証券シニアアナリストの高橋俊雄氏は、加盟店支援に加え、惣菜や弁当の工場での人手不足から商品の見直しも必要となっていると指摘、「こうした変更にも一時的な経費が発生することから、国内コンビニ事業は、業績面での踊り場を迎える可能性が高い」と予想する。

24時間の看板は安易に降ろせず

人手不足を背景に、ファミリーレストランなどは営業時間の短縮を打ち出しているほか、百貨店では定休日を復活する動きが出ているが、コンビニ業界で事情が異なる。

あるコンビニチェーンのオーナーは「小売業はどこも人手不足だと思うが、コンビニの場合は、フランチャイズ契約であり、人手不足の負荷がオーナーに直接かかってくる。少ない人員で何とかしのぐ状況。命も脅かされる労働環境になっている」と話す。

コンビニ業界に詳しいプリモリサーチジャパンの鈴木孝之代表は「立地によっては、24時間営業を止めても良い店舗はある。合理性を失ったサービスの維持は難しくなった。24時間営業の見直しは始まって当然」とみる。

ただ、「24時間・年中無休」の看板を降ろすことは簡単ではない。ユニー・ファミリーマートホールディングス <8028.T>の高柳浩二社長も「社会インフラになっている部分があり、果たさなければならない使命がある。24時間営業を何とか維持できないか考える方が筋だと思っている」と否定的な立場だ。交差点に立って見渡せば、複数のコンビニが目に入る。自社のみが24時間営業を止めれば他チェーンに顧客を奪われる、という理由も見え隠れする。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英インフレ率目標の維持、労働市場の緩みが鍵=ハスケ

ワールド

ガザ病院敷地内から数百人の遺体、国連当局者「恐怖を

ワールド

ウクライナ、海外在住男性への領事サービス停止 徴兵

ワールド

スパイ容疑で極右政党議員スタッフ逮捕 独検察 中国
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバイを襲った大洪水の爪痕

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    冥王星の地表にある「巨大なハート」...科学者を悩ま…

  • 9

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 7

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中