最新記事

暗殺事件

金正男の長男ハンソル名乗る動画 身柄保全にオランダが関与か

2017年3月9日(木)12時50分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部


だが、この二つの単語を組み合わせることは北朝鮮の人間なら違和感を感じるという指摘が出されている。朝鮮日報が伝えるところでは、アン・チャンイル世界北朝鮮研究センター所長は「北朝鮮で教育を受けた人であれば、この二つの単語を組み合わせた奇妙な名称を使用しない」という。Webサイトに公開された団体の英語表記「Cheollima」も北朝鮮で使用される「Chollima」と異なる。このため、北朝鮮国内や脱北者が作った団体ではなく、海外の特定の機関や人物が、北朝鮮政府関係の高位にいる者の脱北を誘導しようとして作られた団体とも思われる。

また、この団体が開設したWebサイトについても、連絡先として掲載されたメールアドレスは暗号化されたメール送信を行えるWebメールであること、ドメインの登録も「WhoisGuard」という業者を介して実際の登録者が明かされないようにするなど、自分たちについて追跡されないようセキュリティに配慮していることが分かってきた。キム・ハンソルと見られる動画がアップされたYouTubeアカウントとWebサイトのドメインがともに4日に登録されていることから、公開直前に準備が始まったようだ。

さらに、韓国メディア国民日報が伝えるところでは、この組織がWebサイトで支援のための寄付を呼びかけているビットコインの口座には9日午前2時の時点で16回の振込があり、0.9902771 BTCが寄付されたという。日本円では13万5000円程度の金額である。

こうした人道支援活動を行う団体でありながら、はっきりと身元を明かさずに寄付を呼びかけている点について、実態のない詐欺ではないかという声もある。韓国中央日報によれば、政府当局者は「具体的な実体が把握されるまで、この団体にキム・ハンソルや脱北者支援のためにお金を渡すのは慎重であるべきである」と述べたという。

韓国駐在オランダ大使が手助け?

一方で、今回動画を投稿したCheollima Civil Defenseという団体が唯一、個人の名前を挙げて注目されているのが、オランダのロディ・エンブレヒツ韓国駐在大使だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=下落、予想下回るGDPが圧迫

ビジネス

再送-〔ロイターネクスト〕米第1四半期GDPは上方

ワールド

中国の対ロ支援、西側諸国との関係閉ざす=NATO事

ビジネス

NY外為市場=ドル、対円以外で下落 第1四半期は低
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中