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北朝鮮

金正男暗殺事件の背景 マレーシアに北朝鮮工作機関のダミー会社

2017年3月3日(金)09時11分


シンガポール企業とのつながり

ウェブサイトの所有者を示す「WHOIS」データベースを検索すると、「Glocom.com.my」は、リトル・インディア地区を所在地とするインターナショナル・グローバル・システムという団体によって2009年に登録されていた。グローコムのウェブサイトには、これと似たような名前のインターナショナル・ゴールデン・サービスという企業が連絡先として記載されている。

グローコムは12月中旬に「glocom-corp.com」という新たなウェブサイトを登録したが、ここにはマレーシアでの連絡先が記載されていない。最新の投稿は2017年1月で、精密誘導ミサイル用の遠隔操作システムを含む新製品を宣伝していた。

国連報告書は、取得した請求書などの情報に基づき、グローコムを運営しているのは、「パンシステムズ」というシンガポール企業の平壌支社だと述べている。

シンガポールのパンシステムズでマネージング・ディレクターを務めるルイス・ロウ氏によれば、同社は1996年から平壌に支社を持っていたが、2010年に公式に北朝鮮との関係に終止符を打ち、今では同国で事業は行なっていないという。

「パンシステムズという名称を使い、外国企業であると称しているが、実際にはすべて彼らが動かしている」。平壌オフィスにいる北朝鮮人スタッフについて、ロウ氏はそうロイターに語った。

国連報告書によれば、平壌パンシステムズは、おもに中国・マレーシアを拠点とする銀行口座やダミー会社、エージェントを利用して部品を購入し、無線システムの完成品を販売している。平壌パンシステムズからのコメントは得られなかった。

平壌パンシステムズの取締役の1人がリャン・スニョ氏である。彼女の経歴を直接知る情報提供者によれば、同氏は偵察総局の「第519連絡室」と呼ばれる部門に所属しているという。また彼女は、グローコムのウェブサイトを登録したインターナショナル・グローバル・システムの株主としても名を連ねている。

ロイターはリャン氏への取材を試みたが、果たせなかった。

現金不法持ち込みで拘束

国連報告書によれば、リャン氏は頻繁にシンガポールとマレーシアを訪問し、パンシステムズの代表と会っていた。

2014年2月の出張では、リャン氏と他2人の北朝鮮人がマレーシアで拘束された。クアラルンプールの空港にある格安航空会社用ターミナルの税関で、現金45万ドルを密かに持ち込もうとしたためだ、と当時の状況に詳しい関係者2人がロイターに語った。

拘束された3人はマレーシア当局に対し、パンシステムズの社員であると名乗り、現金は駐クアラルンプール北朝鮮大使館のものであると供述したという。

マレーシアの司法長官は、証拠不十分を理由に彼らを訴追しないことを決定した。情報提供者によれば、その1週間後、3人は移動を許可され、北朝鮮大使館が現金の所有権を主張した。3人とも、政府職員に支給されるパスポートを所持していたという。マレーシア税関と司法長官室にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

国連報告書によれば、クアラルンプールのパンシステムズ代表者はキム・チャンヒョクという名前の北朝鮮人だという。

キム氏は、ジェームス・キムという通名も使っているが、グローコムのウェブサイトに連絡先として記載されていたインターナショナル・ゴールデン・サービスの創業時の取締役である。マレーシアの会社登記簿によれば、キム氏はこの他、ITや貿易分野で活動するマレーシア企業4社の取締役及び株主である。郵便や電子メールでキム氏にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

報告書を作成した国連の専門家パネルは、マレーシア政府に対し、国連制裁を遵守するため、キム氏を国外追放して、インターナショナル・ゴールデン・サービスとインターナショナル・グローバル・システムの資産を凍結したかどうかを問い合わせた。国連は、いつこの問い合わせを行なったかを明らかにしていない。

「同パネルはまだ回答を受領していない」と報告書にはある。

ロイターはグローコムについて、マレーシア政府に繰り返し問い合わせしたが、回答は得られていない。

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