最新記事

保護主義

G20草案から消えた「保護主義に反対」 トランプ政権に配慮か

2017年3月8日(水)19時11分

3月8日、バーデンバーデン(ドイツ)で17日から始まるG20財務相・中央銀行総裁会議で採択される声明の草案で、これまで盛り込まれてきた保護主義や競争的な通貨切り下げに「断固として反対する」との文言が抜け落ち、様々な波紋が広がった。写真はトランプ米大統領、ワシントンで7日撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)

バーデンバーデン(ドイツ)で17日から始まる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で採択される声明の草案で、これまで盛り込まれてきた保護主義や競争的な通貨切り下げに「断固として反対する」との文言が抜け落ち、市場関係者ばかりでなく、日本政府内にも様々な波紋が広がった。

一部では、トランプ米政権の誕生で議長国ドイツが「合意ライン」を模索しているとの見方も浮上。今後の行方に関心が集まっている。

「明らかにおかしい」──。これまで「あらゆる保護主義に反対する」としていたG20声明。ロイターが入手した草案では「公正で開かれた国際通商システムを維持する」と記述が変更された。日本政府関係者の中からは、この文言変更に疑問符を投げかける声が出ている。

一方、為替に関する「競争的な通貨切り下げを回避し、競争目的で為替をターゲットとしない」との文言も消え、「従来の為替相場のコミットメントを再確認する」となった。ここでも事情に詳しい海外の当局者は、首をかしげる。

為替について、G20共同声明は長年にわたって「為替相場の過度なボラティリティーや無秩序な動きは経済や金融安定に悪影響をもたらすおそれがある。為替相場について緊密に連携する」との表現が盛り込まれてきた。しかし、入手した草案には、これらも含まれていない。

今回のG20財務相・中銀会合は、保護主義的な通商政策を掲げるトランプ米大統領の登場以後、初めての開催となる。別の当局関係者は「米政府の新たな立場を反映し、文言が変更されたのでは」と指摘する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ネタニヤフ氏、イラン核問題巡りトランプ氏と協議へ 

ワールド

トランプ氏、グリーンランド特使にルイジアナ州知事を

ワールド

ロ、米のカリブ海での行動に懸念表明 ベネズエラ外相

ワールド

ベネズエラ原油輸出減速か、米のタンカー拿捕受け
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 5
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 6
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中