最新記事

アメリカ外交

トランプ政権閣僚による欧州PR訪問、対米懸念払しょくできず

2017年2月21日(火)11時25分

 2月18日、ドナルド・トランプ氏の米大統領就任から波乱の1カ月が過ぎようとする中、トランプ政権の主要閣僚が最近、欧州に広がる対米懸念を払拭しようと、ブリュッセルやボン、ミュンヘンを訪問した。写真はペンス副大統領。独ミュンヘンで17日撮影(2017年 ロイター/Michaela Rehle)

ドナルド・トランプ氏の米大統領就任から波乱の1カ月が過ぎようとする中、トランプ政権の主要閣僚が最近、欧州に広がる対米懸念を払拭しようと、ブリュッセルやボン、ミュンヘンを訪問した。しかし、彼らの目標が、米国の基本外交方針に変更がないと訴えることだったとすれば不十分だったとの声が、ミュンヘンの欧州の外交関係者や政治家、アナリストからは上がっている。

訪欧したマティス国防長官は、北大西洋条約機構(NATO)が「時代遅れ」などということは全くないと強調。トランプ大統領が繰り返してきた言い回しを真っ向から否定した。ペンス副大統領は、ウクライナ問題でロシアに「責任を負わせる」と発言したが、トランプ氏はロシアのプーチン大統領に秋波を送っている。

ドイツ連邦議会の外交委員長を務めたルプレヒト・ポレンツ氏はペンス氏のミュンヘンでの講演後、ロイターに対し「安心できるような発言ではない。今後、われわれがいかに連携していくのかに関し、ビジョンをまったく示さなかった」と述べた。

米大統領補佐官(国家安全保障担当)だったマイケル・フリン氏辞任の経緯に絡み、ペンス氏は政権の中枢(インナーサークル)メンバーではないとの見方が浮上したことも、同氏には不利な要素だ。

ペンス氏は、こうした不信感に正面から向き会おうと、講演の冒頭で自分はトランプ大統領の代わりにしゃべっているのだと強調した。しかし、たった20分の講演の間に19回も「大統領」という言葉を発し、講演参加者の1人で作家・歴史家のロバート・ケーガン氏は「権力者にロボットのように敬意を表している」と切り捨てた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ロシア大手2行、インド支店開設に向け中銀に許可申請

ワールド

ガザの反ハマス武装勢力指導者が死亡、イスラエルの戦

ビジネス

マクロスコープ:強気の孫氏、疑念深める市場 ソフト

ビジネス

実質消費支出10月は3.0%減、6カ月ぶりマイナス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 6
    「ロシアは欧州との戦いに備えている」――プーチン発…
  • 7
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 8
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 9
    【トランプ和平案】プーチンに「免罪符」、ウクライ…
  • 10
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 4
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 10
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中