最新記事

中国共産党

辣椒(ラージャオ)さんとの出会い――亡命漫画家『嘘つき中国共産党』

2017年1月26日(木)17時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

中国共産党の嘘は、いつから始まったのか? Kim Kyung-Hoon-REUTERS

 アメリカ政府のメディアVOAの要望により、中国大陸からの亡命漫画家である辣椒(ラージャオ)さんに会った。彼の『嘘つき中国共産党』に感銘して会いたいと思っていたところだった。二人の共通点と理念をご紹介したい。

VOA(Voice of America)からの問い合わせ

 筆者は滅多に日本で出版された中国分析に関する本を買わない。しかし『マンガで読む 嘘つき中国共産党』を見たときは、迷わず一瞬で購入した。彼が中国大陸からの亡命漫画家であるという理由もあるが、「中国共産党が国家の根幹にかかわる嘘をついている」という事実を追跡して、その証拠をつかんだ筆者としては、彼がどの点において「中国共産党が嘘をついている」と思っているのかを知りたかったからだ。

【参考記事】アパホテルを糾弾する前に中国共産党がやるべきこと

 案の定、辣椒さんの『マンガで読む 嘘つき中国共産党』は、よくある「中国崩壊論」や「習近平の権力闘争といった煽り記事」などと違い、筆者が主張してきた「習近平政権の真の敵は中国人民である」という視点が入っており、何よりも「中国の言論弾圧に抵抗しているからこそ、この本を書いている」という、筆者との強烈な共通点があり、「この人だ!」と心が躍る。

 漫画も、パンチの利いた風刺もの。実にいい。魅力的で新鮮だ。

 この人に会わなければという、一種の運命というか、使命感のような衝撃が走った。

 見れば、新潮社から出ている。

 筆者の『毛沢東 日本軍と共謀した男』も新潮新書だ。

 急いで新潮社に連絡しようとしたときに、パソコンから「メールが届いた」という音がした。この音は大きく設定してあり、すぐに気が付くようにしてある。

 それはアメリカ政府のメディアで、大きなウェブサイトも持っているVOA(Voice of America)(アメリカの声)の記者からのメールだった。

 なんと、そのメールには、「日本に亡命している中国の漫画家・辣椒が、どうしてもあなたに会いたいと言っている。彼はあなたが書いた『毛沢東 日本軍と共謀した男』に関するVOAの報道を見て、何としてもあなたに会いたいと思ったようだ。あなたの本を漫画化したいと望んでいる。会ってもらえないだろうか?」とあるではないか!

 これを天の采配と言わずに、なんと言おう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米連邦地裁、H─1Bビザ巡る商工会議所の訴え退ける

ワールド

米東部の高齢者施設で爆発、2人死亡 ガス漏れか

ビジネス

午前の日経平均は続伸も値幅限定、クリスマス休暇で手

ビジネス

歳出最大122.3兆円で最終調整、新規国債は29.
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中