最新記事

米外交

ロシア通の石油メジャーCEOがトランプの国務長官になったら外交止まる?

2016年12月12日(月)18時08分
ロビー・グレイマー、エミリー・タムキン

 民主・共和両党の議員や外交専門家の間では、驚きや不満の声が上がっており、彼らの懸念はティラーソンのプーチンとの関係にほぼ集中している。下院情報委員会の有力メンバーでカリフォルニア州選出のアダム・シフ下院議員(民主党)はツイッターで、「レックス・ティラーソンはプーチンとロシアとの間で広範なビジネス上の取引を抱えており、対ロ制裁の解除を支持している。もし国務長官になれば巨大な利益相反を問われる」と批判した。

 アリゾナ州選出のジョン・マケイン上院議員(共和党)は10日、米FOXニュースのインタビューで「ティラーソンがウラジーミル・プーチンとどのような関係なのかが懸念材料だ」と語った。

政治家より目は鋭い?

「ティラーソンが国務長官になれば、冷戦以降のアメリカの外交政策が巨大なスケールで中断されることを意味する」と、ワシントンの有力シンクタンク・カーネギー国際平和財団のロシア専門家ドミトリー・トレーニンは指摘した。

 一方で、ティラーソンに外交経験がないことやロシアと深いつながりがあることを問題にしない専門家もいた。「石油業界の出身者には知見がある。数十億ドル規模の資金を管理し、何十年単位のプロジェクトを取り仕切るには、政治的な領域でも微妙なニュアンスが読みとれる深い洞察力が必要だ」と言うのは、エクソンモービルの元アドバイザーで中東地域が専門のスザンネ・マロニーだ。

「ワシントンで幅をきかせる政治家は、国際情勢に関する独占的な知識など持ち合わせていない。その点、エクソンモービルの元同僚たちは、地域の動静を鋭く掴んでいた」

From Foreign Policy Magazine

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

情報BOX:パウエル米FRB議長の会見要旨

ビジネス

FRB、12月1日でバランスシート縮小終了 短期流

ビジネス

FRB0.25%利下げ、2会合連続 量的引き締め1

ワールド

ロシアが原子力魚雷「ポセイドン」の実験成功 プーチ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    コレがなければ「進次郎が首相」?...高市早苗を総理に押し上げた「2つの要因」、流れを変えたカーク「参政党演説」
  • 3
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」にSNS震撼、誰もが恐れる「その正体」とは?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 6
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 7
    リチウムイオンバッテリー火災で国家クラウドが炎上─…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 10
    怒れるトランプが息の根を止めようとしている、プー…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 9
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 10
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中