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昭和の食生活

ご飯を最後に食べる「会席料理式ダイエット」のすすめ

2016年11月16日(水)19時37分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

noritos-iStock.

<最も体にいいのは「昭和の食生活」。しかも、安くて美味く、調理も簡単だ。和食を知り尽くした食文化史研究家の永山久夫氏(85歳)が、自らの若く貧しい時代を支えた「食の知恵」を初公開>

 東北大学大学院農学研究科の都筑穀准教授によると、昭和50(1975)年ごろ、日本の一般家庭で採られていた食事が最も健康的だという。1960年、1975年、1990年、2005年の食事メニューを再現し、比較実験した研究から得られた結論だ。

 あらゆる種類のダイエット法が登場しては消えていく中で、この研究は話題となった。「やはり和食が一番」という通説を裏付けるものでもあった。

【参考記事】NY著名フレンチシェフが休業、日本に和食を学びに来る!
【参考記事】和食ブームだけじゃない、日本の料理教室がアジアで快進撃の理由

 そんな「昭和の食生活」を自ら実践し、"生き抜いてきた"1人に、食文化史研究家の永山久夫氏がいる。昭和7(1932)年、福島県生まれ。漫画家を目指して上京し、結婚、一児を授かるが、妻が病死。以来、貧乏暮らしをしながら仕事と子育てを続けた。まさに昭和50年のその年、『納豆沿革史』を上梓した永山氏は、以後、食文化史研究家として活躍するようになる。

 和食を知り尽くした永山氏が、自らの貧しかった時代を支えた「食の知恵」を初公開したのが新刊『ひと月1万円!体にやさしい 昭和のシンプル食生活』だ。当時の食生活を振り返るエッセイを織り交ぜながら、基本食材と121のレシピを紹介している。

「長い人生にはいろいろありますが、私の場合、芽の出ない人生が長過ぎました。そんな暮らしの中で身についたのが、安く手に入る、体にいい物を食べるということでした。......85歳まで元気にこられたのは、ビンボーから培った生活の知恵、永山式・昭和の食生活のお陰だと思っています」と、永山氏は「はじめに」に書く。

 ここでは本書から一部を抜粋し、5回に分けて掲載する。第1回は「3章 安い、かんたん、体にいい! 永山流食生活のルール」より。


『ひと月1万円!体にやさしい
 昭和のシンプル食生活』
 永山久夫 著
 CCCメディアハウス

◇ ◇ ◇

⑨ ご飯を最後に食べる「会席料理式ダイエット」のすすめ

 ここ数年、私は食事を「会席料理式」で食べています。

 会席料理......そうです。まずおかずを食べ、最後にご飯をいただく、あの独特の食事作法ですね。

 ご存じのように、会席料理では先に料理を食べ、最後にご飯を頂戴します。料理は前菜、そして吸い物や煮物などの椀物。次に刺身や膾(なます)などの向付。鉢肴の焼き物と焼き魚。炊き合わせ。酢の物か和え物と続き、それを全部食べ終わったらご飯となって、そのご飯もお椀にほんの軽く一膳。上品そのものです。しかし、この上品な食べ順が体にやさしい。

 タンパク質や食物繊維などのおかずを何品も先に食べるので、おかずコースが終わる頃には満腹。最後のご飯は自然に少量になります。当然、炭水化物は少なくてすみ、結果としてダイエットにつながる。

 最近、炭水化物を食べない「糖質制限ダイエット」という方法が流行しています。しかし、3食完全に炭水化物をぬいたら、脳の機能が低下したり、血管がボロボロになったりしてしまうでしょう。そこで専門医が推奨しているのが、ゆるやかな糖質制限です。

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