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日米関係

「トランプ大統領誕生」で日本のメリットは何か?

2016年11月14日(月)17時20分
古谷経衡(文筆家)

 これまで私たちは、「日米同盟が存在するのが当たり前」「在日米軍が存在するのが当たり前」と考え、もしそれが失効したり弱まったりしたときの未来を想像してこなかった。しかし市井の日本人が、いまその「起こるはずもなかった」はずの明日の事を想像し、対処する方法を必死に考えている。

 むろん、トランプが来年1月に大統領になった翌日に、日本から在日米軍が撤退するというのは、あまりに飛躍した理論である。そもそも、トランプの中で「日米同盟の見直し」に関する優先度はそこまで高くない。トランプは日本に冷淡というよりも、前提的に無知だ。だが、周囲の補佐官や識者から説得されて「やっぱり日米同盟は未来永劫続く強烈な靱帯」などと転換することはないだろう。逆にそういったとしたら、それこそ疑わしい。

 仮にも公に掲げた公約や言動を、180度転換すると、支持を失う。そうすれば共和党は次の選挙(4年後)に勝てなくなる。共和党の勢力圏は、元来民主党の地盤であったラスト・ベルトに食い込んでいる。アメリカの政治地図が変わったのと同時に、共和党自身も変わったのだ。今回共和党を支持した白人有権者を裏切るような方向に共和党が政策を転換するのは、かなり現実的ではない。

 しかも今回の大統領選挙とあわせて、共和党は上下両院でも順当に勝利して過半数を得ている。その勝利の背景にはトランプがあったことを考えると、この選挙で当選した何割かの共和党議員にはトランプに恩義があり、真っ向から党内反トランプ派を形成することは難しいのである。

 一度有権者に発した言葉を、そうやすやすと大転換できるほど、言葉は軽くない。「政治家は言葉が命」などという癖に、なぜトランプだけにはそれを適用しないのだろうか。トランプを政治の素人と思ってバカにしているのではないか。その「トランプなんてどうせ素人だ、おバカさんだ」というインテリの見下し、隠せざる嘲笑こそが、白人低学歴層にトランプ支持を形成させた最大の因があることを自覚すべきである。

想像力とはディフェンスである

 確かに米大統領は独裁者ではないので、予備選中で言ったことが全部実現するわけはない。だが、「おおむね」トランプの志向する方向に、日米関係が向かうのは疑いようはない。アメリカがアジアから関与を引いていくのは、何も今になって始まったことではなく、オバマ時代からの(あるいはもっと前からの)世界的な米軍再編によって既に下地がある。トランプはそれを加速させるだろう。

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