最新記事

2016米大統領選

トランプ氏当選と中国――尖閣問題は?

2016年11月10日(木)16時35分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

 中には、南シナ海問題や尖閣問題に関して、トランプ氏に行なった取材を例にとっている報道もある。

 たとえば、11月9日の「環球時報」は、今年3月21日に「ワシントンポスト」がトランプ氏を取材した際に以下のような質問をしたとして、その回答を特別に大きく扱っている。

記者:あなたは中国と南シナ海の問題に関して、どう見ていますか?中国は何をしようとしていると思いますか?われわれ(アメリカ)は、どのように行動すればいいと思いますか?たとえば、貿易面において(中国に)圧力を加えれば、彼らは南シナ海から撤退すると思いますか?

トランプ:アメリカが中国の行動のために第三次世界大戦を始めるとは私は思わない。私は中国のことは非常に分かっている。中国とは、かなりうまい商売をやったことがある。アメリカは中国に対して非常に大きな貿易面での影響力を持っている。だからその面で中国に圧力を掛ければ、中国から譲歩を引き出すことができる。

記者:もし中国が、日本人が言うところの尖閣列島、すなわち釣魚島を占領したとすれば、アメリカはどう出ますか?

トランプ:私がどうするかということに関して、あなたに言いたくはない。

 このような、執拗とも言えるほど食い下がった質問が、トランプ氏に向けられていたことを中国共産党系列の新聞が報道していることもあわせて考えると、「トランプが当選すれば、南シナ海や東シナ海問題などへの介入を減らすだろう」というのが、中国の大方の見解だと言っていいだろう。

 環球時報はさらに、11月13日から18日にかけて、中国の昆明で、中米両陸軍の共同軍事演習(人道主義的災害救助合同演習)が行われることを特記し、あたかも「中米両軍は仲がいいのだ」というのをアピールしている。

東南アジア諸国を着々と落としていった中国

 ただ、そううまくはいかないだろうことも、中国は予測している。それに備えて、中国が今年、力を入れてきたのは東南アジア諸国を、つぎつぎと手なずけていくことだった。

 これに関しては、すでに本コラムで以下のような状況をご紹介してきたので、重複は避ける。

 ●「チャイナマネーが「国際秩序」を買う――ASEAN外相会議一致困難」(ラオスとカンボジアに関して)
 ●「中国を選んだフィリピンのドゥテルテ大統領――訪中決定」
 ●「中比首脳会談――フィリピン、漁夫の利か?」
 ●「スー・チー氏の全方位外交と中国の戦略」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米金利は「中立」水準、追加利下げ不要=セントルイス

ワールド

トランプ氏、ウクライナ紛争終結「合意近づく」 ロ特

ワールド

トランプ氏「イランは合意望む」、プーチン氏はイラン

ワールド

国連事務総長、財政危機を警告 7月に運営費枯渇の可
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵士供給に悩むロシアが行う「外道行為」の実態
  • 2
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 5
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパ…
  • 6
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 7
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 8
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 9
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中