最新記事

日本社会

脱社畜は可能? 残業規制へ労基法改正案を来年度国会提出へ

2016年11月7日(月)19時26分

11月7日、政府は、時間外労働時間の規制があいまいな現行の労働基準法を改正し、2017年中に改正法案を国会に提出する方向だ。2013年7月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

 政府は、時間外労働時間の規制があいまいな現行の労働基準法を改正し、2017年中に改正法案を国会に提出する方向だ。複数の関係筋が明らかにした。具体的には労働基準法36条もしくは関連法案を改正し、月間45時間ないし80時間の上限を明記する公算が大きい。

 また、現行法では残業規制の例外職種となっている運転手や建設労働者にも、残業上限を適用することも検討している。

 複数の関係筋によると、政府の働き方改革実現会議で来年3月末までに取りまとめる「働き方改革実行計画」の中で、残業時間の上限について、具体的な内容を盛り込む方向で議論する。労働基準法改正案は、同実行計画に盛り込まれる内容が「基礎」になるという。

 同会議は、安倍晋三首相が議長となり、8人の閣僚が参加。さらに榊原定征・経団連会長、神津里季生・連合会長の労使代表、学識経験者ら15人が加わっている。

 実行計画では、過労死の原因と指摘されている長時間労働を規制するため、時間外労働の上限を明記するのか、明記する場合は上限をどの水準に設定するのかが、最大の焦点になるとみられている。

 現行法では、労働基準法36条に基づく労使間の協定(通称:36協定)を締結すれば、週40時間の法定労働時間を超えて、企業が雇用者を労働させることができる。その延長限度は、大臣告示で1カ月45時間・年間360時間となっている。

 しかし、特別の事情が生じた場合にさらに延長できる「特別条項付き36協定」を結んだ場合、事実上、制限のない「青天井」の時間外勤務を課せられるケースもあるとの指摘があり、その点が制度見直しの最大のポイントとなっている。

 関係筋によると、連合は月45時間の上限を基準にどこまで譲れるか、交渉次第とする姿勢を示す見通し。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国万科、債権者が社債償還延期を拒否 デフォルトリ

ワールド

トランプ氏、経済政策が中間選挙勝利につながるか確信

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中