最新記事

日本経済

トランプ優勢で 東京株式市場全面安 下げ幅一時1000円を超える

2016年11月9日(水)15時54分

11月9日、東京株式市場で日経平均は大幅続落。下げ幅は一時1000円を超え、取引時間中としては8月4日以来、3カ月ぶりの安値を付けた。写真はノースカロライナ州で7日撮影(2016年 ロイター/Chris Keane)

 東京株式市場で日経平均は大幅続落。下げ幅は一時1000円を超え、取引時間中としては8月4日以来、3カ月ぶりの安値を付けた。東証1部銘柄の97%が値下がりする全面安商状。米大統領選で共和党候補のトランプ氏が優勢との見方が広がり、投資家のリスク回避姿勢が鮮明となった。

 日経平均の値幅(高値と安値の差)は1315円90銭となり、英国のEU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票で相場が大きく動いた6月24日(1525円16銭)に次ぐ今年2番目の大きさ。終値ベースでの下げ幅も今年2番目の大きさとなった。投資家の不安心理の度合いを示す日経平均ボラティリティ指数<.JNIV>は、一時30ポイント台を付け、7月29日以来の水準まで上昇した。

 序盤はフロリダ州の開票状況をめぐる報道が相場を左右した。民主党候補のクリントン氏がリードしたと伝わると安心感が広がり、日経平均は一時250円を超す上昇となった。その後、同州での開票速報で両候補の得票数がきっ抗すると、市場のムードが一変。オハイオ州など激戦州でトランプ氏が優勢との報道が相次ぐなかで、米株価指数先物が急落した。外為市場は一時1ドル101円台前半まで円高が進行。日本株も先物主導で売られ、下値を模索する展開となった。

 業種別では輸送用機器、海運、鉄鋼、証券をはじめとした金融セクターの下げが目立つ。岡三アセットマネジメント・シニアストラテジストの前野達志氏は「トランプ氏が米大統領となれば、米国経済自体の見方を修正せざるを得ず、影響はブレグジットと比べてもスケールが異なる」と指摘。「1ドル100円割れがあってもおかしくはなく、日本株も短期的に戻したとしても、元の水準まで戻すには時間が必要だ」とみている。

 東証1部売買代金は3兆9242億円に膨らみ、今年3番目の高水準。大型株ではトヨタ<7302.T>が6.5%安で取引を終了した。前日に通期利益予想の上方修正と自社株買いを発表し買いが先行したが、リスク回避の売りに押された。

 個別銘柄ではこのほか、石川製作所<6208.T>や豊和工業<6203.T>、東京計器<7721.T>などが急伸。トランプ氏が大統領選で優勢との見方が広がったことで、防衛関連の需要が高まるとの思惑から短期資金が向かった。

 東証1部騰落数は、値上がり43銘柄に対し、値下がりが1934銘柄、変わらずが9銘柄だった。

日経平均<.N225>

終値      16251.54 -919.84

寄り付き    17281.95

安値/高値   16111.81─17427.71

TOPIX<.TOPX>

終値       1301.16 -62.33

寄り付き     1372.34

安値/高値    1287.39─1382.03

東証出来高(万株) 381019

東証売買代金(億円) 39242.72

(長田善行)

[9日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

植田日銀総裁「賃金に上昇圧力続く」、ジャクソンホー

ワールド

北朝鮮の金総書記、新型対空ミサイル発射実験を視察=

ワールド

アングル:観光客の回復遅れるベルリン、「観光公害な

ビジネス

アングル:黒人向け美容業界にトランプ関税の打撃、ウ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋肉は「神経の従者」だった
  • 3
    一体なぜ? 66年前に死んだ「兄の遺体」が南極大陸で見つかった...あるイギリス人がたどった「数奇な運命」
  • 4
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 5
    『ジョン・ウィック』はただのアクション映画ではな…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 8
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 9
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 10
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 6
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 7
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    「このクマ、絶対爆笑してる」水槽の前に立つ女の子…
  • 10
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中