最新記事

マレーシア

ナジブ首相の足をひっぱるマレーシアのイメルダ夫人

2016年10月18日(火)16時46分
大塚智彦(PanAsiaNews)

夫婦で疑惑の追及を受けるナジブ首相とロスマ夫人 Stephen Morrison-REUTERS

<マレーシアの首相夫人ロスマの豪勢な暮らしぶりがかつてのイメルダ・マルコス(フィリピン大統領夫人)並みと、アメリカのメディアを騒がせている。自らもスキャンダルを抱え、大物マハティール首相との対決も控えたナジブ首相には泣きっ面に蜂>

 東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10か国首脳、元首の夫人たちの中で「最も美しいファーストレディ」を選ぶイベントがあり、見事2位を獲得したこともあるマレーシアのファーストレディ、ロスマ・マンソール夫人(64)が夫のナジブ・ラザク首相の新たな重荷、頭痛の種になっている。

【参考記事】18年の怨念を超えて握手 マハティールと仇敵が目指す政権打倒

 国営投資会社ワン・マレーシア開発(1MDB)に関連した不正資金流用問題や治安維持で首相に強大な特権を与える「国家安全保障会議(NSC)法」制定、仇敵となったマハティール元首相による「ナジブ打倒」を掲げる新党結成などで人気と支持に陰りのでてきたナジブ首相に、追い打ちをかけるようにロスマ夫人の疑惑やスキャンダルが次々と浮上しているのだ。夫人の立場でありながら政治に口出ししたり、不動産購入や宝飾品収集といった贅沢三昧の私生活などが暴かれ、その「マイナスイメージ」には夫のナジブ首相も口をさしはさめない状態のようで、内外から「マレーシアのイメルダ」と不名誉な異名を与えられている。

 「イメルダ」は言わずと知れたフィリピンの独裁的指導者だった故マルコス大統領の夫人で贅沢三昧な生活ぶりが暴露されたあのイメルダ・マルコス夫人である。

 9月19日、マレーシアの中国語新聞などが国連教育科学機関(UNESCO)の受賞対象リストにあったロスマ夫人の名前が表彰式の直前になって除外されたことを伝えた。2007年にマレーシア政府の支援で設立された貧困層の子供に対する社会支援を続けるマレーシアの組織「プルマタ」の活動が国際的に高く評価され、その代表としてロスマ夫人へのUNESCOの「リード・バイ・エグザンプル」賞の受賞が決まった。ところがこの「プルマタ」の設立時にロスマ夫人が多額の寄付をしたことが指摘され、その資金源が不透明、不明確なことから受賞対象から除外されたというのだ。

 この措置に対し、ロスマ夫人と大統領府報道官は「UNESCOの決定の背後にはウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とニューヨーク・タイムズ(NYT)という米2紙による圧力があった」とその公平性に疑問を投げかけた。その上では「この賞にプルマタは自ら応募したわけではなく、UNESCOが(一方的に)選んだだけだ」と指摘して、UNESCO側が勝手に選んでおいて一方的に除外したとUNESCOを批判した。

不動産、ブランド、宝石大好きの首相夫人

 寄付の資金源に対し米有力誌が疑問を投げかけたロスマ夫人とは一体どういう人物なのか。外務省などの資料によると1951年12月10日にネグリ・スンビラン州クアラ・ピラーに生まれ、マラヤ大学で人類学、社会学を学び米ルイジアナ州立大学に留学して社会学、農学修士を得て帰国。農業銀行、不動産開発会社に勤務して1987年にナジブ氏と結婚した。夫ナジブ氏がマハティール政権で頭角を現し国防相、副首相、首相と政界の階段を上るに従い、夫人の贅沢志向も膨れ上がってきたという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送-米政府、海上停滞中のイラン産原油売却を容認 

ワールド

米国防総省、パランティアのAIを指揮統制システムに

ビジネス

米ユナイテッド航空 、秋まで運航便5%削減 中東情

ワールド

米、イラン戦争の目標達成に近づく=トランプ氏
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    メーガン妃、親友称賛の投稿が波紋...チャリティーの場でにじんだ「私的発信」
  • 3
    BTSカムバック公演で光化門に26万人、ソウル中心部の交通を遮断 ──「式場に入れない」新婦の訴えに警察が異例対応
  • 4
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 5
    「日本人のほうが民度が低い」を招いてしまった渋谷…
  • 6
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 9
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 10
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 9
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 10
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中