最新記事

ベネズエラ

神父からインディオスまで ベネズエラ9.1大規模デモの参加者たち

2016年9月16日(金)06時20分
野田 香奈子

 9月1日、以前から予告されていた通り、ベネズエラで野党派の大規模な抗議運動がありました。このことは多くの日本のメディアも伝えました。

 



" ベネズエラ、大統領罷免求め大規模デモ 野党幹部「100万人参加」
大統領の罷免に向けた国民投票の実施を求めて大規模な抗議デモが行われた。野党幹部は100万人規模を動員したと主張している。AFP

ただ、残念ながら、この前後の特異な状況について触れている記事は皆無でした。そのせいか、これほど特徴的だったデモの位置付けや解釈がいまいちピンとこない記事が多い印象です。

 そこで、前回の記事「ベネズエラ9月1日大規模デモの意味するもの」に続き、今回はこの歴史的な抗議運動の前後の出来事からこのデモの意義を見ていきます。

9月1日(1S)に至るまで

各地からはるばるカラカスに集まる人々

Toma de Caracas(カラカス奪取)のスローガンの元に、多くの人が地方からもカラカスに集まりました。

 特に、話題になったのが、レニン・バスティダス神父のカラカス巡礼


 この若い神父はベネズエラの危機的状況を憂い人々に呼びかけ、政府に抗議するためアンソアテギ州のエルティグレからカラカスへ徒歩で巡礼を行いました。熱心なカトリック信者の多いベネズエラでは、神父の巡礼は大きな反響を呼びました。当初、神父は9月1日の野党派の抗議には反対を表明しており平和を求めると発言していましたが、最終的に、9月1日の平和的なデモに神父自身も参加しました。

 そしてインディオスの人々の参加。


チャベス政権下ではインディオスの権利の尊重は常に重要なテーマでした。そのために憲法も変わりましたが、結局のところ憲法上の文面が変わっただけで、実際には経済悪化などの影響をもろに受け、何かと苦しい生活を強いられてきたのがインディオスの人々です。以前は熱心にチャベスを支持した彼らがカラカスまで徒歩で出向きマドゥロに抗議する姿は、まさに時代の変化を象徴するものでした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、日鉄とUSスチールの「パートナー

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退

ビジネス

米国株式市場=S&P500ほぼ横ばい、月間では23

ワールド

トランプ氏の核施設破壊発言、「レッドライン越え」=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中