最新記事

イギリス

英中「黄金時代」に暗雲、中国が投資する英原発計画の承認延期で

2016年8月15日(月)10時35分


「当然の懸念」

 メイ氏が首相の座に就いた後、英政府は「中国との関係を尊重しているが、新政権が計画を詳細にわたって検討したいと考えるのは自然なことだ」と述べていたとされる。

 英国政府の報道官は「巨大インフラプロジェクトをめぐる判断であり、新政権がこれを慎重に検討することは正当である」と語った。

「グローバル経済から国際問題に至るまで幅広い分野にわたって中国と協力しており、今後も中国と緊密な関係を模索し続ける」

だが、メイ首相に対して強い影響力を持つニック・ティモシー共同首席補佐官は昨年、英国のエネルギー生産を停止することも可能なコンピューターシステムへのアクセス権限を中国の国営企業グループに与えることを安全保障専門家が懸念している、と述べていた。

「中国との貿易・投資関係を切望するあまり、国家安全保障に関する合理的な懸念が脇に押しやられている」とティモシー氏は昨年10月、保守的な報道・コメントで知られるウェブサイトのコラムで書いている。

 ティモシー氏は、英国は中国のカネの魅力ゆえに同国の人権問題について口をつぐんでいると述べ、イギリスの治安当局は、中国のスパイが英国の国益に反する活動を行っていると考えていると指摘している。

「貿易・投資がどれだけの額に達しようと、敵対的な国に対して、我が国の枢要なインフラへの容易なアクセスを認めることは正当化されない」と彼は言う。

 ヒンクリー原発プロジェクトに関する最終判断は9月に下される予定だ。

 (翻訳:エァクレーレン)

Guy Faulconbridge and Kylie MacLellan

[ロンドン 9日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ファーストリテが一時4%超高、好調な4月のユニクロ

ワールド

米コロンビア大、全校規模の卒業式中止 ガザ反戦デモ

ビジネス

フランス自動車業界、2027年までにEV販売4倍増

ワールド

メーデー連休中の中国新築住宅販売、前年比47%減少
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 2

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 7

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 10

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中