最新記事

2016米大統領選

トランプには「吐き気がする」──オランド仏大統領

2016年8月3日(水)17時20分
シボーン・オグレイディ

Michel Euler-REUTERS

<トランプの連日の妄言に、フランス大統領が遂に苦言。口にこそ出さないが、トランプが世界の嫌われ者なのは周知の事実。終わりの始まりが始まった?>

 戦没者遺族を侮辱したドナルド・トランプについて、バラク・オバマ米大統領は2日、「大統領になるには嘆かわしいほど準備不足」と批判した。「不適格な」候補への支持をなぜ取り下げないのか、と初めて共和党指導部への批判にも踏み込んだ。

 だが、上には上がいる。フランスのフランソワ・オランド大統領は、イラク戦争で戦死したイスラム教徒の米兵士の両親を侮辱したトランプについて「行き過ぎた言動に吐き気がする」と非難した。

【参考記事】戦死したイスラム系米兵の両親が、トランプに突きつけた「アメリカの本質」

 先週フィラデルフィアで開かれた民主党全国大会でオバマが強調したように、今やトランプは世界の指導者の間でも嫌われ者だ。国際秩序の崩壊や経済の先行き不安、NATO(北大西洋条約機構)の揺らぎまで、何でも責任を押し付けるのに格好の存在だ。それでも、トランプ自身の「行き過ぎ」を先頭切って批判するには、あの髪型に月1万1000ドルを注ぎ込むオランドの厚顔さが必要だった。

 民主党全国大会で登壇したキズル・カーンは、2004年にイラクで自爆テロにあって戦死した息子の話をした後、イスラム教徒を入国禁止にすると主張するトランプに「憲法を読んだことがあるのか」と問いかけた。それに対しトランプは、侮辱発言を連発。大統領候補が戦死者の遺族を批判する前代未聞の事態に、民主党だけでなく共和党内からも非難が噴出している。

【参考記事】戦没者遺族に「手を出した」トランプは、アメリカ政治の崩壊を招く
【参考記事】この週末にトランプ陣営が抱え込んだ5つのトラブル

 オランドは会見で「(世界の)民主主義は危機に直面しており、より多くの人が権威主義に傾いている」と述べた。

「もしアメリカ人がトランプを大統領に選べば、フランスを含めた国際政治全体に影響を及ぼすだろう。アメリカの大統領選は、世界の選挙なのだから」


From Foreign Policy Magazine

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アルゼンチンGDP、第3四半期は前年比3.3%増 

ビジネス

テスラ、独で電池セル生産強化 10億ドル投資へ

ワールド

トランプ氏、入国制限を拡大 シリアなど7カ国やパレ

ビジネス

みずほFG、インドのアベンダスに60%超出資 最大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 8
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中