最新記事

イギリス

EU離脱決定でイギリス国内の政治・経済が大混乱、株・通貨下げ止まらず

2016年6月28日(火)10時58分

6月27日、英与党・保守党で、国民投票の結果を受けて24日に辞意を表明したキャメロン首相(写真)の後任選びが始まる中、野党・労働党では影の閣僚の辞任が相次ぎ、コービン党首に反発する動きが加速するなど、英国は政治的にも経済的にも深い混乱状態にある。ロンドンで27日撮影(2016年 ロイター/Peter Nicholls)

 英国の国民投票での欧州連合(EU)離脱決定は週明け27日の金融市場に新たなショックを与えた。英国政府は政治と経済の混乱緩和に努めているにもかかわらず、通貨ポンドは下げ止まらない。

 オズボーン英財務相は27日、EU離脱決定について、金融市場のさらなる変動が予想されるとしつつも、英経済は先行きの困難に対処できるほどに強固との認識を示した。それでもポンドは対ドルで31年ぶりの安値を付け、先週の予想外の離脱決定からの下げが続けている。

 欧州銀行株は先週24日と27日の2営業日の下げ幅が過去最大を記録。MSCI世界株価指数<.MIWD00000PUS>も2営業日で2008年のリーマン・ショック級の下げ幅となっている。

 格付け大手S&Pは27日、英国の最上位トリプルA格付けを2段階引き下げ、AAとし、一段と引き下げる可能性もあると警告した。

 英与党・保守党で、国民投票の結果を受けて24日に辞意を表明したキャメロン首相の後任選びが始まる中、野党・労働党では影の閣僚の辞任が相次ぎ、コービン党首に反発する動きが加速するなど、英国は政治的にも経済的にも深い混乱状態にある。

 ロンドンの金融関係者の多くは「市場に方向性を示し、安心感を与えることが必要な状況なのに政治的リーダーシップが存在しない」と感じている。

 キャメロン首相の後任選びで最も注目を集めているのは、EU離脱派を率いてきたボリス・ジョンソン前ロンドン市長。ブックメーカー(賭け業者)も最有力視しているが、保守党内にはかつての盟友であるキャメロン首相を裏切りEU離脱派に回ったとして、「反ボリス派」も多いと伝えられている。

 スカイニュースは関係筋の情報として、スティーブン・クラブ雇用・年金相が出馬を検討していると報じた。雑誌スペクテイターの編集者はツイッターで、ジェレミー・ハント保健相も党首選に出馬する公算が大きいとの見方を示している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「気持ち悪い」「恥ずかしい...」ジェニファー・ロペ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中