最新記事

円高

円・スイスフラン上昇、英EU離脱懸念で逃避買

2016年6月15日(水)10時18分

 6月14日、終盤のニューヨーク外為市場では、円とスイスフランが上昇した。写真は1万円札、2013年2月撮影(2016年 ロイター/Shohei Miyano)

終盤のニューヨーク外為市場では、円とスイスフランが上昇した。英国の欧州連合(EU)離脱懸念を背景としたリスク回避姿勢が一段と強まり、安全通貨を買う動きが鮮明になった。

円がユーロに対して3年余りぶりの高値を付け、ポンドに対しても3年ぶり高値に迫る場面があった。スイスフランも対ユーロで一時3カ月ぶり高値となった。

英世論調査でEU離脱支持派の優勢が続いているほか、英国最大の発行部数の大衆紙サンが、読者に23日の国民投票で離脱票を投じるよう促す記事を掲載した。

このためポンドやユーロは売りが活発化。ポンド/ドルは一時2カ月余りぶりの1.4093ドルに下落し、ユーロ/ドルも軟化した。

スコシアバンクのチーフ通貨ストラテジスト、ショーン・オズボーン氏は、ボラティリティーの急激な上昇でポンドに対するヘッジコストが極めて割高化しているとともに、国民投票の実施日前後を期日とするポンドのオプションは流動性がまったくない状態だと指摘した。

その上で同氏は、それでもまだポジションカバーが必要な投資家にとっては、スポット市場でポンドやユーロをドルもしくは円に対して売り持ちにするのが理にかなうし、恐らく今は最も現実的なヘッジ手段だとの見方を示した。

終盤のユーロ/円は1.0%安の118.84円、ドル/円は0.2%安の106.05円だった。

ドル/円は、5月米小売売上高がしっかりした内容と受け止められたことで下げ幅が縮小した。市場参加者によると、15─16日の日銀金融政策決定会合を前に105.50円付近が強力な下値支持線として存在し、日本の当局が介入を再開するとみなされている100円ちょうどを試す動きが抑えられている。

英国のEU離脱が決まれば円の逃避買いがさらに活発化すると予想される中で、日銀が16日に円押し下げを狙った追加緩和を決めるかどうか市場では意見が分かれている。

ドル/円 NY終値 106.10/106.13

始値 105.88

高値 106.17

安値 105.84

ユーロ/ドル NY終値 1.1206/1.1210

始値 1.1220

高値 1.1240

安値 1.1189

*内容を追加しました。



[ニューヨーク 14日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米、メキシコ産トマトの大半に約17%関税 合意離脱

ワールド

米、輸入ドローン・ポリシリコン巡る安保調査開始=商

ワールド

事故調査まだ終わらずとエアインディアCEO、報告書

ビジネス

スタバ、北米で出社義務を週4日に拡大へ=CEO
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 2
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 3
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別「年収ランキング」を発表
  • 4
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 7
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 10
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中