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能力が低いから昇進できない、という人はめったにいない

2016年5月10日(火)17時22分

 私はあっけにとられて、ほとんど口もきけなくなった。上司がなぜそのような反応をしたのか、ずっとわからないでいた。どれほど徹底した分析をしたのか、彼は知りたくなかったのだろうか? なぜあの手法と仮定を選んだのか、その理由を言う必要がなかったのか? 私の知性を示すことはできなかったのだろうか? 私が出した結論は、上司の望んだとおりのものだったが、上司をうならせることはできなかった。あまりに詳細な情報を出しすぎたために、大変な努力の結果をほとんど評価してもらえなかったのだ。

 焦点を絞り、効率的に報告していれば、分析結果を上司から評価されていたはずだ。そのうえ私自身も、報告すべきことや、上司の時間の使い方を判断できる、気のきいた優秀なアソシエイトだと認識してもらったはずだ。おそらくその上司とすぐにまた仕事をする機会を得られただろう。実際には彼と仕事をする機会は長い間もらえず、数少ない絶好の取引の機会も逃してしまった。

 何をどのように話すかで、職場であなたがどのように認識されるかが決まってしまう。その認識は、組織内での昇進に直接影響を与えることがわかっているのだ。

※シリーズ第1回:「5年を1単位」としてキャリアプランを考えよ
※シリーズ第3回:キャリアを左右する「職場プロフィール」とは何か


『モルガン・スタンレー 最強のキャリア戦略』
 カーラ・ハリス 著
 堀内久美子 訳
 CCCメディアハウス

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