最新記事

欧州債務危機

IMF覚書草案で「ギリシャ債務なお持続不可能、欧州側の大幅軽減不可欠」

2018年のギリシャ財政赤字をGDP比4.5%とEUよりも厳しい見解

2016年4月13日(水)10時58分

4月12日、IMFはギリシャ債務がなお持続不可能で、欧州が大規模な軽減策を実施することが不可欠と判断している。写真は緊縮財政に抗議するギリシャ市民。昨年7月撮影。(2016年 ロイター/ Yiannis Kourtoglou)

  国際通貨基金(IMF)は、ギリシャの債務が極めて持続不可能な水準に高止まりしており、欧州のパートナーが大規模な債務軽減策を実施することが不可欠と判断している。IMFの覚書草案をロイターが入手した。

 草案では、ギリシャに対する寛容かつ譲許的な資金支援や一段の改革計画にもかかわず、「(ギリシャ)債務のダイナミクスは引き続き極めて持続不可能な水準にとどまると予想される」と指摘。「債務の持続可能性を回復するには、改革努力に加え、欧州のパートナーがギリシャ債務の一段の軽減に向け断固たる行動を取ることが不可欠」とした。

 国際債権団の間ではギリシャの財政見通しに関して意見の隔たりがあり、これが一因となって改革状況をめぐる審査が長引いている経緯がある。

 欧州連合(EU)側は、ギリシャの財政赤字が2018年に国内総生産(GDP)比3%相当になるとしているが、IMFは4.5%を見込む。

 プライマリーバランス(基礎的財政収支)についても、EU側は2018年までにGDP比3.5%の黒字が達成できると予想しているが、IMFの覚書草案では、今年がGDP比0.5%の赤字、2017年が0.25%の黒字、2018年も1.5%の黒字にとどまるとしている。

 IMFは長期の成長率についても平均1.25%とし、前回から引き下げた。

 IMFは今回新たに定めた目標について、ギリシャの改革疲れに加え、高水準の失業率による社会的圧力を反映したと説明しており、「野心的だが現実的」としている。

 

[アテネ 12日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

銅に50%関税、トランプ氏が署名 8月1日発効

ビジネス

FRB金利据え置き、ウォラー・ボウマン両氏が反対

ワールド

トランプ氏、ブラジルに40%追加関税 合計50%に

ビジネス

米GDP、第2四半期3%増とプラス回復 国内需要は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 3
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い」国はどこ?
  • 4
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 5
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 6
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 9
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中