最新記事

映画

監禁生活を送る母子の人生を取り戻す闘い

2016年4月8日(金)16時25分
デーナ・スティーブンス

 閉ざされた世界を照らす輝きは、ジョイを演じるラーソンから発せられているのだろう。ラーソンはまだ26歳だが、若さの割にさまざまな感情や経験の積み重ねを感じさせる。

もがき苦しむ姿はないが

 ラーソンはわが子の健康や安全、幸せを守ろうとするジョイの奮闘を見せてくれる。同時に、絶望に沈み込みそうになる心に必死に抗い、前を見詰め続けようとする内面奥深くでの闘いも見事に表現している。

 何より、いつか息子が経験するであろう外の世界に対する強い思い入れが伝わってくる。それは見る人に感動を与えるだけでなく、綿密に考え抜かれた演技。子を育てる親、そして人間というものに対する洞察に満ちていると言えるだろう。

 後半では2人が脱出した後日談が語られる。この映画は暗い状況を扱ってはいるが、試練のなかで母子がもがき苦しむといったセンセーショナルな場面はない。小屋の中で2人が比較的幸せに暮らせた秘訣は、決してもがいたりしないことだった。

 作品の根底に流れているのは希望のメッセージだ。たとえ監禁下でも愛し合う2人なら、生き続けるに値する世界をつくり上げることができる。

© 2016, Slate

[2016年4月12日号掲載]

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ドイツ25年GDP、市場予想通り0.2%増 景気後

ワールド

豪ヘイトスピーチ・銃規制法案、可決不透明に 野党が

ビジネス

アングル:サプライズ解散が促す円安、期待インフレ上

ビジネス

英GDP、11月は予想上回る前月比+0.3% JL
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広がる波紋、その「衝撃の価格」とは?
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    イランの体制転換は秒読み? イラン国民が「打倒ハ…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 7
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 8
    年始早々軍事介入を行ったトランプ...強硬な外交で支…
  • 9
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 10
    飛行機内で「マナー最悪」の乗客を撮影...SNS投稿が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 5
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 8
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中