最新記事

軍備

中国、ジブチに海外初の海軍基地建設で異例の「友好アピール」

2016年3月28日(月)19時00分

 「強調されるべきは、中国が平和的発展の道を支持しており、軍拡競争に参画したことはないということだ。これは決して変わらないだろう」としている。

 すでに米国やフランスの軍事施設を有するジブチも、中国の施設が海賊対策や通商ルート保護のための補給と他の後方支援に使われるという中国の主張に同調する。

 だが、その一方で、たとえ中国が「前哨基地」としての利用を模索し始めても、西側が長年にわたり世界中で同じことをしてきたことを考えれば、心配には及ばないとも指摘する。

 人口100万人にも満たないジブチで2月、国際的な海運拠点となるべく同施設の建設が始まった。

 しかし、インド洋北西というジブチの位置が、インド国内で懸念を高めている。ジブチが、バングラデシュやミャンマー、スリランカなどに続き、中国と軍事同盟を結び、インドを包囲する「真珠の首飾り」に加わることを危惧しているのだ。

 複数のインド軍当局者はロイターに対し、ジブチにおける中国海軍のプレゼンスは、長年続くヒマラヤ国境紛争により、現在陸と空に限定されているインドの有事対策に、新たな側面を加えることになると話した。

 ジブチ同様、軍事基地となり得るパキスタンのグワダール港にも中国が関与していることを考えれば、中国海軍の役割は大いに高まり、インド海軍の脅威となると、インド軍のマンディプ・シン准将は、政府系シンクタンク、防衛問題研究所(IDSA)への論文で指摘している。

 「中国海軍はジブチに長距離対応の軍備を整えることが可能であり、インド西岸沖に浮かぶインドの島々だけでなくアラビア海の監視も継続的に行うことができる」と、シン准将は述べている。

アフリカの首飾り

 中国の王毅外相は、今月開催された全国人民代表大会(全人代)で、海外の拠点がさらに増える可能性に含みをもたせた。

 アフリカ大陸では、中国と同国企業の関わる港湾建設がいくつか進んでいる。本来は商港だが、今後これらすべてに中国海軍の艦船が停泊する可能性はある。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

再送米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比

ワールド

「トランプ氏と喜んで討議」、バイデン氏が討論会に意

ワールド

国際刑事裁の決定、イスラエルの行動に影響せず=ネタ

ワールド

ロシア中銀、金利16%に据え置き インフレ率は年内
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中