最新記事

米大統領選

トランプ「お前の妻の秘密をばらす」とクルーズを脅迫

超保守派2人のデッドヒートは、互いの妻を巻き込んだ醜い中傷合戦に

2016年3月24日(木)16時00分
ミシェル・ゴーマン

「キツい」時期もあった 政界と実業界でキャリアを積んでファーストレディーの座を目指すハイディ・クルーズ Randall Hill--Reuters

「みなさんもお気づきでしょうが、ドナルド・トランプの発言にはほとんど根拠がありません」

 アリゾナ州とユタ州での予備選・党員集会から一夜明けた23日、テッド・クルーズ上院議員の妻ハイディは遊説先のウィスコンシン州で報道陣にこう語った。

 トランプがツイッター上で「お前の妻の秘密をばらす」とクルーズを脅したことについて、感想を聞かれたときのことだ。

【参考記事】暴露本で問われるカーラ・ブルーニの実力

 ハイディはトランプの脅迫など気にしていないと強調。夫の勝利を確実にするため全力で支えることが自分の務めであり、今はそれに集中したいと述べた。

 共和党予備選のトップを走るトランプとそれを猛追するクルーズ。超保守派2人のデッドヒートは、互いの妻を巻き込んだ醜い中傷合戦になりつつある。

 そもそもの発端は、反トランプのスーパーPAC(政治資金を管理する団体)が、トランプの妻メラニアのヌード写真を選挙広告に使ったこと。2000年にGQ誌に掲載されたグラビア写真(全裸のメラニアが毛皮の敷物の上で艶かしいポーズをとっている)を有権者に見せ、「この人がファーストレディーになってもいいですか、それともクルーズを応援しますか」と迫るものだ。

【参考記事】ヴォーグ誌、独裁者夫人を讃美

 クルーズ陣営が制作したわけではないが、トランプはクルーズが汚い手を使ったと息巻いている。

 トランプは23日朝、再びこの写真についてツィート。ハイディの後ろ暗い過去を知っていると仄めかした。秘密が何かははっきりしないが、05年にテキサス州オースティンで起きた自殺未遂を疑わせる一件ではないかと憶測が飛び交っている。この一件は公開された警察の報告書で明らかになった。

頭を抱えて道路脇に......

 報告書には、高速道路近くの道路脇に頭を抱えて座り込んでいる女性がいるとの通報があり、警察官が駆け付けて事情を聞くと、女性はハイディ・クルーズと名乗ったと記載されている。ただ、この報告書は公開にあたって黒く塗りつぶされた箇所がいくつもあり、事実関係ははっきりしない。ハイディ自身もこの一件に関しては口を濁しており、以前ニューヨーク・タイムズの記者に聞かれたときには「誰だって精神的にキツい時期があるでしょ」と突っぱねている。

【参考記事】仏大統領「夫人」は浮気されてもファーストレディーか

 この一件が起きる1年程前に、ハイディはジョージ・W・ブッシュ前政権のスタッフを辞し、テキサス州の夫の元に戻った。ブッシュ政権では彼女は通商代表部、財務省、NSCのスタッフを歴任。現在はゴールドマン・サックスのヒューストン支店の専務理事を務めるキャリアの持ち主だが、特別休暇制度を利用して夫の選挙戦を支えている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英パリサーが日本郵政の価値向上策、株価は「過小評価

ワールド

中国の10月大豆輸入、75%がブラジル産 米国産は

ビジネス

米労働省、10月雇用統計発表取りやめ 11月分は1

ワールド

エプスタイン関連文書巡り、サマーズ氏らの調査開始=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、完成した「信じられない」大失敗ヘアにSNS爆笑
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    衛星画像が捉えた中国の「侵攻部隊」
  • 8
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 9
    ホワイトカラー志望への偏りが人手不足をより深刻化…
  • 10
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 7
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 8
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 9
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中