最新記事

イスラム過激派

イスラム過激派ボコ・ハラムから76人が飢えで投降

ISIS傘下で、少女に自爆テロをさせるなどの残虐非道で知られるボコ・ハラム。ナイジェリア政府軍の掃討作戦で劣勢に

2016年3月4日(金)15時11分
コナー・ギャフィー

破壊の跡 ボコ・ハラムのテロは今年に入ってからも続いている(写真は1月に襲撃を受けたダロリの集落) REUTERS   

 ナイジェリアのイスラム過激派ボコ・ハラムから、飢えたメンバーがナイジェリア政府軍に投降したことがわかった。

 先月末、北部ボルノ州の町グウォーザで女性や子どもを含むボコ・ハラムのメンバー76人が政府軍に投降してきた、と今週AP通信が伝えた。メンバーはガリガリに痩せ衰え、食べ物を求めた、と報じている。

 投降したメンバーは現在、政府軍の本部があるマイドゥグリで拘束されている。ここはボコ・ハラムが2009年に武装闘争を開始した都市でもある。ボコ・ハラムは昨年3月にISIS(自称「イスラム国」、別名ISIL)に忠誠を誓ったが、民間の自警団の話によると、他のメンバーも投降を望んでいるという。

女子学生200人を拉致した蛮行

 ボコ・ハラムは過去6年間の武装闘争の間に少なくとも2万人を殺害。自宅から避難を余儀なくされた人々も200万人にのぼる。女性や子どもを拉致することで知られ、14年4月にはボルノ州チボクで女子学校の学生寮から200人以上の女子学生を拉致している。

【参考記事】自爆少女たちは爆弾と知らずに吹き飛ばされていた

【参考記事】「少女自爆」のボコ・ハラムはISを上回る世界一の殺戮集団

 昨年3月にボコ・ハラム撲滅を公約の1つにして当選したブハリ大統領の命令で、政府軍は掃討作戦を実施。ボコ・ハラムの勢力範囲は狭まっていた。現在はボルノ州の「サンビサの森」に追い詰められている。

 ブハリ大統領は昨年12月、ボコ・ハラムに「実質的」に勝利した、と宣言。しかしその後も自爆攻撃やゲリラ攻撃は続いている。今年1月に、マイドゥグリ近郊の村ダロリで爆弾と銃撃で80人以上を殺害するなど、今年の1~2月、国内で151人をテロで殺害している。

 ボコ・ハラムの武装闘争は、チャド湖周辺の近隣諸国(カメルーン、チャド、ニジェール)にも拡大している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EU、ウクライナ支援で2案提示 ロ凍結資産活用もし

ワールド

トランプ政権、ニューオーリンズで不法移民取り締まり

ビジネス

米9月製造業生産は横ばい、輸入関税の影響で抑制続く

ワールド

イスラエル、新たに遺体受け取り ラファ検問所近く開
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 6
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 7
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 8
    トランプ王国テネシーに異変!? 下院補選で共和党が…
  • 9
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が…
  • 10
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中