最新記事

感染症

小頭症の新生児が急増、ブラジル襲うジカ熱の脅威

2016年2月1日(月)11時19分

 9月以降にブラジル全土で報告された約3700の小頭症の症例の3分の1以上はペルナンブーコ州に集中しており、現在、同州の病院はその数に圧倒されている。

 ブラジル保健省によれば、新たに報告される症例の数は他の地域では増加しているものの、ペルナンブーコ州では減少している。

 しかし今回の危機は、小頭症など神経学的な異常を持つ多数の子どもに対し、将来的に特別のケアを必要とする。財政赤字と景気後退によってブラジル政府が公共医療制度の予算を削るなか、すでに赤字に苦しむ病院はさらなる負担を強いられている。

 ロチャ医師によれば、レシフェの同病院には毎日5人程度の新たな患者が訪れている。ピークだった11月下旬にはその数は18人にも上ったという。

 同医師らは、症例の減少が最悪期の終わりを意味することを期待しているが、このウイルスと合併症について明らかになっていることが極端に少ないため、確信は持てずにいるという。

 現時点でジカ熱の治療法はない。ジカ熱に感染すると、通常、軽い発熱と一時的な身体の痛みが生じるが、これらは、昨年ブラジルで160万人が感染し800人以上が死亡したデング熱の、軽微な症状と間違えやすい。

 蚊の発生防止を強化するため、ブラジルは兵士を含む何千人もの自治体や州、連邦政府の職員を動員。各都市の蚊の発生源を除去し、燻蒸消毒を行い、メスの蚊が卵を産みやすい淀んだ溜まり水の危険性を住民に周知している。

 2月13日には、政府は22万人もの部隊を動員してパンフレットなどを配布、潜在的に危険があると思われる場所を特定する予定だ。

長い闘い

 ブラジルで七番目に大きな都市であるレシフェでは、市側が長期戦への備えを固めている。

 「今はまだ、問題の大きさがようやく垣間見えた段階だ。この問題は今後何年間も続く可能性がある」と、レシフェの保健福祉官ジェイルソン・コレイア氏は語る。

 レシフェは11月、ブラジル連邦政府に対し、危機対応の資金として2900万レアル(約8.8億円)を要請したが、現時点までに支給されたのは130万レアルにとどまる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

USAレアアース株、一時26%上昇 米政府の16億

ワールド

イスラエル軍、ガザ最後の人質の遺体を収容

ワールド

トランプ氏、ミネソタ州に国境責任者派遣 地裁は摘発

ビジネス

金価格、5100ドルの大台突破 地政学リスクで安全
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 5
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 6
    「20代は5.6万円のオートロック、今は木造3.95万円」…
  • 7
    中国、軍高官2人を重大な規律違反などで調査...人民…
  • 8
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 9
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 10
    外国人が増えて治安は悪化したのか
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中