最新記事

感染症

小頭症の新生児が急増、ブラジル襲うジカ熱の脅威

2016年2月1日(月)11時19分

 ロチャ医師は、障害を持つ子どもが立て続けに生まれることの精神的・経済的コストは計り知れないと訴えている。

 こうした乳児の多くは、その後けいれんなどの発作を起こす可能性が高く、生存の確率を高めるためには直ちに脳の刺激療法を受ける必要がある。最近でも、同州では少なくとも12人の小頭症の乳児が死亡している。

 さらに、視覚障害や聴覚障害、そして四肢の著しい変形など、他の合併症の例も現われはじめている。

 ペルナンブーコ州にわずか5人しかいない神経科医の1人、バネッサ・バン・デル・リンデン氏は、嚥下できない子どもも多く、最も深刻な症例では重篤な呼吸障害が見られると明かす。

 同氏は、昨年9月に小頭症の症例が不自然に増えていることに初めて気付き、保健当局に注意を促した医師の一人である。異常は11月になると急増し、彼女が勤務するバラオ・デ・ルセナの老朽化した小児病院では、一晩に3人もの小頭症の子どもが生まれた。

 「パニックだった」と、ヴァン・デル・リンデン医師は振り返る。

 当時と比べれば、事態は落ち着いてきている。

 先週、ペルナンブーコ州全域で新たに報告された小頭症患者は、ピークだった11月下旬の196例に対して、29例にとどまった。最も危機的だった2カ月間、ドラッグストアの棚からは昆虫駆除薬が消えたが、これらの商品も店頭に戻りつつある。

 もちろん、多くの人々にとって対応が遅きに失したことは否めない。

 料金所で働く27歳のグリーゼ・ケリー・ダ・シルバさんは、昨年4月に発疹、微熱、そして腰痛が3日間ほど続いたという。

 そして、10月に生まれた娘のマリア・ジョバンナちゃんは小頭症と診断された。シルバさんは今でも、いつか娘が言葉を話せるようになるという希望を失ってはいないが、いまだに何の治療法も提示できない公的医療機関に対しては、苛立ちを隠さない。

 「治療開始が早ければ早いほど、娘のためになる。子どもの数が多いので、もっと大勢の医師が必要だ。母親たちは診療予約を取るにも苦労している」と彼女は語る。

 (Anthony Boadle記者)(翻訳:エァクレーレン)。

 

[レシフェ 27日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

USAレアアース株、一時26%上昇 米政府の16億

ワールド

トランプ氏、ミネソタ州知事と協議 地裁は移民摘発停

ワールド

北極圏防衛強化はNATO主導へ、グリーランド協議は

ビジネス

米耐久財コア受注、25年11月は0.7%増 5カ月
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 5
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 6
    「20代は5.6万円のオートロック、今は木造3.95万円」…
  • 7
    中国、軍高官2人を重大な規律違反などで調査...人民…
  • 8
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 9
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 10
    外国人が増えて治安は悪化したのか
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中