最新記事

ヨーロッパ

英仏海峡の高速鉄道、屋根に難民!で緊急停止

英仏海峡トンネルを通って豊かなイギリスを目指す難民の津波に当局はお手上げ

2015年9月3日(木)16時52分
フェリシティ・ケーポン

決死の覚悟 列車でトンネルを渡ろうと線路内に入る難民たち Juan Medina-REUTERS

 中東や北アフリカから逃れてきた難民たちがまた、パリ発ロンドン行きの高速列車ユーロスターに命懸けで乗り込もうとした。

 火曜の深夜、英仏海峡トンネルに近い線路内で人が目撃され、ユーロスターは緊急停止。パリ行きとロンドン行きの各1本が始発駅に引き返し、1本がトンネルのフランス側で立ち往生した。2000人前後の乗客が影響を被ったという。

 トンネルの運営会社ユーロトンネルの公式ツイッターによると、列車の屋根の上に人が乗っている、と乗客から通報があって密航に気付いた。トンネル手前で停止した列車の乗客によると、「耳を澄まして、列車に登ろうとしている物音がしたら通報してほしい」と指示されたという。警察のヘリコプターがサーチライトで列車の屋根を照らし、捜査員が線路内に人がいないか調べた。

 ヨーロッパ大陸に逃れてきた難民の多くは、よりよい生活を求めてドイツかイギリスを目指す。英仏海峡トンネルのフランス側の出入り口に当たる都市カレーには難民が殺到。トラックや列車に乗ってイギリス側へ密航しようと道路沿いで野営するなど、以前から当局を悩ませていた。

 ユーロスターの広報担当ジョン・キーフによると、「カレーの港とトンネル入り口付近での警備が強化されたため、難民や移民は約5キロ内陸の駅に集まるようになった」という。「彼らは線路内に立ち入って列車を止め、その隙に乗り込もうとするが、移民を乗せて列車を走らせるわけにはいかない」

 停止した列車では、捜査員が車内を調べる間、「5時間くらい停電になった」と、乗客はBBCに語った。「真っ暗でエアコンも切れて、ドアを開けてはいけないと言われたので密室状態だった」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、東部要衝都市を9割掌握と発表 ロシアは

ビジネス

ウォラーFRB理事「中銀独立性を絶対に守る」、大統

ワールド

米財務省、「サハリン2」の原油販売許可延長 来年6

ワールド

中国、「ベネズエラへの一方的圧力に反対」 外相が電
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中