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モディが安倍に期待する訪日の「土産」とは?

2014年9月2日(火)18時38分
アフシン・モラビ(本誌コラムニスト・ニューアメリカ財団上級研究員)

 安倍とモディは、メディアの前でよく互いを褒め合いながら友好をアピールしてきた。安倍がインドとより緊密な安全保障関係を築きたいと思うなら、モディに十分な「土産」を渡して帰さなければならない。

 候補の1つが、インフラや製造業の分野で日印が協力するイニシアチブをまとめることだ。インドのインフラは乏しく、約3人に1人は安定した電力供給を受けていない。ほとんどの道路が未整備だし、鉄道や港湾、空港にも投資が必要だ。

 日本企業はこうしたインフラを整備することができる。既にデリーの地下鉄プロジェクトや鉄道網の拡大事業に関わっている。日本の製造業にとってもインドは次の10年間で最も魅力的な国だと、国際協力銀行は昨年行った調査で指摘している。

 注目を集めるこのイニシアチブがまとまれば、モディは就任早々、大きな土産を手に凱旋帰国し、国民に成果を誇示できるだろう。既に一部で起こりつつあるモディ批判は、まだ具体的な成果が見えないことに集中している。時期尚早な非難だが、人々は待てないのだ。

 日印のイニシアチブは日本の企業にとっても有益だ。そして安倍政権も、将来的にアジアの安全保障について熱心に耳を傾けてくれる盟友を得られることになる。

[2014年9月 2日号掲載]

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