数々の名監督を生んだイランの現状にもやもやしながら『シンプル・アクシデント/偶然』を観る
ILLUSTRATION BY NATSUCO MOON FOR NEWSWEEK JAPAN
<映画大国である一方、思想統制や秘密警察がはびこり表現の自由が規制されているイランでジャファル・パナヒは映画を撮り続けている>
アッバス・キアロスタミやモフセン・マフマルバフ、アスガー・ファルハディなど巨匠たちの名前を挙げるまでもなく、イランは映画大国としても知られている。
でも現在のイスラム革命体制下では、マフマルバフやモハマド・ラスロフなど反体制を持ち味とする監督たちは、映画を撮ったり発表したりすることが難しい。
僕から見れば、これだけでもイランの現体制は肯定できない。宗教的権威と国家権力が融合した「神権政治」であること、表現や報道の自由がなく世界有数の死刑執行国であることなども含めて、1日でも早く体制転換が起きてほしいと思っていた。
しかし他国が武力で侵攻して最高指導者を殺害するという状況も、絶対に認めることはできない。直後の国会で高市首相は日本政府の立場を問われ、「イランによる核兵器開発、これは決して許されない」と答弁したが、ならばなぜイスラエルの核兵器保持は黙認されるのか。イランの側の視点に立てば、あまりにアンフェアだと思いたくなる。
数々の名監督を生んだイランの現状にもやもやしながら『シンプル・アクシデント/偶然』を観る 2026.03.25
『ある日、家族が死刑囚になって』を考えるヒントにして 2026.03.11
脚本・監督も主演2人も素晴らしい......僕の大切な『オアシス』は奇跡を見せてくれる 2026.02.11
大評判作『ワン・バトル・アフター・アナザー』が感じさせるアメリカの「反復力」 2026.01.29






