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独立のチャンス到来?クルドが油田確保に動く

イラク政府軍よりよっぽど強いクルド人民兵に漁夫の利が転がり込むかも

2014年6月20日(金)12時52分
ジョシュア・キーティング

国家樹立へ? 政府軍に代わりキルクークを掌握したクルド人部隊 Onur Coban-Anadolu Agency/Getty Image

 進撃するISISの前に総崩れして一部の兵士が逃げ出したイラク政府軍とは対照的に、クルド人自治区の民兵組織ペシュメルガはしっかり踏みとどまっているようだ。

 彼らは忠誠心も練度も政府軍より上らしい。何よりクルド人の自治拡大という目標に懸ける情熱は、マリキ政権の防衛という任務に対する政府軍のやる気とは比較にもならない。

 ペシュメルガは先週、油田地帯にある北部の都市キルクークを掌握した。キルクークは自治区の外にあるが、クルド側は以前から領有権を主張してきた。

 ISISは北部から首都バグダッドに南下しているとみられることから、ペシュメルガは政府軍に代わって北部の主要拠点を押さえるべく兵力増強を進めている。クルド側にとって今回の危機は自治拡大、さらには国家建設に向けた千載一遇のチャンスになるかもしれない。

 ISISの脅威が本格化した時点で、バグダッドの中央政府と自治政府の間では石油収入の配分をめぐり緊張が高まっていた。クルド側は中央政府に無断でパイプラインを使ったトルコへの原油輸出に踏み切っている。

 マリキ政権はクルド側の石油収入の取り分を減らすと脅しをかけているが、今はペシュメルガの協力が欠かせないはずだ。

 たとえISISの脅威が下火になったとしても、キルクークを含む数都市はペシュメルガの支配下に置かれるだろう。クルド側がこれらの都市を中央政府に返す可能性はあるが、返還の代償は高くつくはずだ。

© 2014, Slate

[2014年6月24日号掲載]

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