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ロシア

クリミア併合に猛進した「激情家」プーチン

2014年4月3日(木)17時00分
リンリー・ブラウニング

 昨年10月、プーチンはモスクワに集まった外国投資家を相手に「安定が重要だ」と熱弁を振るった。「当局が強大な権限と一貫した姿勢を持つべきだ。そうすれば、あなた方もロシアに安心して投資できるだろう」。外資を呼び込み、経済を好転させるためにも、国内の統制強化が不可欠だと、プーチンは考えている。

 同時に「経済成長をベースに高い支持率を維持するというこれまでのやり方は、いずれ通用しなくなることにも気付いている」と、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のダニエル・トライスマン教授(政治学)は言う。「人心掌握には別の方法が必要だ。そこで反欧米のナショナリズムに頼っているのだろう」

 かつてチャーチル元英首相はロシアを「謎の中にある、神秘に包まれた不可解」と呼んだ。それから75年たった今、「誰もプーチンの思考過程を読み解けない」と、崩壊直前のソ連に駐在したジャック・マトロック元米大使は言う。

 それでもウクライナ問題でロシアに対処するには、プーチンの心情を理解することが隠された鍵になるのではないかと、マトロックはみる。プーチンの感情を刺激すればするほど、欧米にとって「不合理な反応」を引き出すことになりかねない。

[2014年4月 1日号掲載]

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