最新記事

セックス

イタリアを売春宿に変えた男

2011年11月10日(木)15時27分
バービー・ナドー(ローマ)

男女平等度は世界で74位

 イタリアでは、どこを向いても女性の性的イメージが目に飛び込んでくる。屋外看板では女性が脚を広げて誘惑的なポーズを取り、ラジオからはあえぎ声が頻繁に流れてくる。テレビの女性キャスターは古代ローマの放蕩王・カリグラ帝も赤面するほど肌を露出している。

 メディア王とイタリアの首相という2つの顔を持つベルルスコーニは、この国のメディアの風土形成に誰よりも影響力を振るってきた。70年代には自身が所有するテレビ局で、回答者が正解するたびに主婦が服を1枚ずつ脱いでいくという度し難いクイズ番組を放送させていた。今でも、好視聴率を挙げている番組の構成は当時と似たようなものだ。

「テレビの中の女性たちは、まるで生ハム扱い。従順なだけか、騒々しい売春婦のようか」だと言うのは、テレビ業界の性差別を批判するドキュメンタリーを制作したロレッラ・ザナルド。「ほかの国では男女平等が進められているのにイタリア女性はいつまでも従属的な役割に甘んじている」

 その事実は統計にも表れている。世界経済フォーラムが発表した昨年の世界男女格差報告書によれば、女性の地位を示すランキングでイタリアは134カ国中、コロンビアやペルー、ルーマニアより下の74位だ(日本は94位)。この指標には男性の賃金との平等性、労働参加率、家庭内暴力の被害率などが含まれている。

 もっと日常的なレベルでは、イタリア男性の95%は洗濯機を回したことがない。家事に費やす時間は女性が週に21時間なのに対して、男性はわずか4時間。「男が家事に対して非常にマッチョな態度を取るのはラテン諸国の伝統だ」と、ベルッチは言う。「女は家で子育てをし、重要な問題を決定するのは常に家長である男。昔も今も、これがイタリア人の常識だ」

 ベルルスコーニの任期も、2013年には終わる。恥知らずなブンガブンガの時代に幕が下りる日も近い。「イタリアをベルルスコーニの手から取り戻し、歴史の流れを変える時が来た」と野党・民主党のフィノキアーノは言う。「これからは女が主役。今の世界で、私たち女にはすごいパワーがあるのだから」

[2011年4月27日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

原油先物上昇、ブレント1週間超ぶり高値 イランがエ

ワールド

ウクライナ和平交渉が中断、イラン情勢緊迫で=ロシア

ワールド

K-POPグループのメンバー脱退、韓国年金基金に抗

ワールド

米8州がネクスターのテグナ買収阻止に向け提訴
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 3
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 4
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 5
    モジタバの最高指導者就任は国民への「最大の侮辱」.…
  • 6
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 9
    原油高騰よりも米国経済・米株市場の行方を左右する…
  • 10
    観客が撮影...ティモシー・シャラメが「アカデミー賞…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 8
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中