最新記事

事件

集団セックス殺人、一転無実の理由

2011年10月4日(火)13時57分
アレサンドロ・スペシャーレ

DNA鑑定の信憑性が無罪の決め手に

 検察側は、ノックスとソレシトに1審の量刑を上回る終身刑を求刑していた。ニューヨーク・タイムズ紙は逆転無罪につながった要因を次のように伝えている。


 検察側はノックスとソレシトが殺害現場にいた証拠として、ナイフとブラジャーの留め金についた血痕のDNA鑑定を提出していた。だが月曜朝の最終弁論で、ノックスの弁護人のルチアノ・ギルガは、この鑑定結果に疑問を呈する専門家の意見に繰り返し言及した。第三者による検証の結果、DNAサンプルが汚染されており、両被告の血痕であると特定できない可能性が浮上したのだ。


 この日の法廷では、ノックス自身も身の潔白を主張し、釈放を求めていた。「私は世間で言われているような人間ではない。私は殺していないし、レイプしていないし、盗んでもいない」と、彼女は訴えた。

 さらにイタリア語で、こう付け加えた。「人々は『アマンダ・ノックスってどんな奴?』と言う。私は4年前とまったく同じ人間だ。4年前と違うのは、この苦しみだけ」

「この4年間で、私は最も悲惨かつ説明し尽せない形で友人たちを失った。不公正で何の根拠もない罪を被せられ、自分がやっていないことに対して人生をかけて償わされている」

 ローリング・ストーン誌は今年7月、「偶然悲劇に巻き込まれた純真な少女」としてノックスを描く特集を掲載した。


 ノックスは、自分が行動やルックス、国籍によって裁かれる身であることを理解していなかった。人間の本質に関する自分の信念が危険なファンタジーである可能性も考えていなかった。

 事態が進むにつれて、彼女はさらなる悲惨な教訓、我々の多くが考えたくないような事柄ついても学んだ。控訴審判決を待ちながら、ノックスは7月で24歳になる。獄中で迎える4度目の誕生日。今の願いはただ一つ、家に帰ることだ。


GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルへの報復ないと示唆 戦火の拡大回

ワールド

「イスラエルとの関連証明されず」とイラン外相、19

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中