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テロ大物テロリスト殺害で得する居座り大統領
自国に潜伏していたアルカイダ系組織幹部アウラキの殺害を利用し、自らの「延命」を狙うイエメンのサレハ大統領
最重要ターゲット アメリカ生まれのアウラキは巧みな話術とIT技術を武器に、世界各地でテロリストを勧誘していた Intelwire.com-Reuters
CIA(米中央情報局)の無人機による攻撃で先週、イエメンに潜伏していたアルカイダ系のイスラム武装勢力「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」幹部のアンワル・アル・アウラキ(40)が殺害された。
アメリカの最重要ターゲットの一人とされてきたアウラキは、イエメンの首都サヌアから東へ約140キロの地点を車で移動中に、無人機による空爆を受けて殺害された。この攻撃で5人が死亡したが、目撃証言によれば遺体は判別がつかないほど焼け焦げていたという。
アメリカのニューメキシコ州でイエメン人の両親のもとに生まれたアウラキは、アメリカ人として初めてCIAの「殺害・拘束」リストに追加された人物だ。
09年のクリスマスに、米航空機爆破テロ未遂事件を起こしたナイジェリア人のウマル・ファルーク・アブドゥルムタラブを勧誘したことで知られる。このテロが実行されていたら、アメリカ本土を狙ったものとしては9・11以来最悪の事件になっていたはずだった。
欧米はサレハの操り人形
しかしアウラキ殺害を最も喜んでいるのはアメリカではなく、イエメンのアリ・アブドラ・サレハ大統領かもしれない。反体制派に即時辞任を迫られ、窮地に立たされているサレハだが、アウラキ殺害に乗じてアメリカからさらなる支援を取り付けるのではないかと懸念する声もある。アメリカはこれまでも、イエメンとサウジアラビアを拠点とするAQAPを打倒するため、サレハの治安部隊に莫大な資金を投入してきた。
「サレハ大統領は、アウラキ殺害を利用して政権に留まる時間を稼ぐつもりだ」と、イエメンのアル・アハレ紙の編集長アリ・ジャラディは語る。「国際社会は騙されてはいけない。サレハは権力の座にしがみつくためなら、何人でも殺すだろう」
イエメンの著名な政治アナリスト、アブデル・ガニ・アリアニによれば、アウラキが過激なテロ扇動家に豹変したのはサヌアの政治犯収容施設に拘束されていたときだという。アウラキはそこで、後にAQAPを立ち上げた過激派の兵士たちと出会った。
「サレハ政権は長年、アルカイダを(欧米を動かすために)利用してきた」と、アリアニは言う。「政権はアルカイダと戦うという名目を掲げて欧米を操ろうとしている。実際は、アルカイダの戦闘員たちをかくまい、助け、扇動してきたのに」