最新記事

中国

iPad2欲しさに腎臓を売った17歳

物欲に駆られた高校生の衝撃的なニュースは、中国社会にはびこる臓器ビジネスの氷山の一角にすぎない

2011年6月6日(月)17時30分

物欲の時代 話題のiPad2を手に入れるためなら何だってする? Charles Platiau-Reuters

 中国安徽省の17歳の高校生が、iPad2欲しさに片方の腎臓を2万人民元(約25万円)で売ってカネを工面したと、上海日報オンライン版が6月2日に報じた。少年はインターネットを通じて腎臓を売る手配をしたと、BBCニュースは伝えている。

 上海日報によれば、少年は「iPad2が欲しかったけれど金がなかった」と語ったという。「(臓器売買の)ブローカーがネットで接触してきて、腎臓を2万人民元で売る手伝いをすると言った」

 交渉の末、少年は4月28日に湖南省林州の林州第198病院で右側の腎臓を摘出。3日後に退院し、報酬など2万2000人民元を受け取った。

 事件が発覚したのは数日後、新品のiPad2とノート型パソコンを持ち帰った少年の母親が、息子の脇腹に深い傷があることに気づいたのがきっかけとされる。少年から話を聞いた母親は、林州の警察署に被害届を提出。英テレグラフ紙によれば、母親は「大金をどうやって手に入れたのか問い詰めたところ、腎臓の一つを売ったと白状した」と語ったという。

背後には臓器売買の巨大な闇市場

 病院側は泌尿器科を民間のビジネスマンに貸し出したことは認めたものの、手術が行われた事実は把握していなかったと説明している。少年にカネを渡した人物の行方は分かっていない。

 中国では政府の取り締まりにも関わらず、ネット上での臓器売買が当たり前のように行われている。臓器移植を必要とする人は中国全土で年間100万人以上に達するが、実際に移植を受けられるのは1万人以下。そのため、ブローカーや医師、腐敗した行政関係者などがうごめく臓器売買の巨大な闇市場が生まれている。

 BBCニュースによれば、中国当局は07年に臓器売買を禁じ、売買行為を撲滅するために無償の臓器提供制度を導入したという。

 ニュースサイトのアジアワンによれば、少年は自分の行為を後悔しており、腎臓を摘出したことで体調が悪化したと語っているという。

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、今後5年間で財政政策を強化=新華社

ワールド

インド・カシミール地方の警察署で爆発、9人死亡・2

ワールド

トランプ大統領、来週にもBBCを提訴 恣意的編集巡

ビジネス

訂正-カンザスシティー連銀総裁、12月FOMCでも
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 5
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 6
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 7
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 8
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中