最新記事

イギリス

ウィリアム王子を狙うテロリストの影

4月29日のロイヤルウェディングで、アフガニスタンやリビアで戦争に積極関与するイギリスが標的に?

2011年4月22日(金)15時13分

警備上の悪夢 結婚式当日のロンドンでは、内外の要人を含む数十万人の人出が予想される Phil Noble-Reuters

 イギリスのウィリアム王子とケイト・ミドルトンの結婚式を1週間後に控え、ロンドン警視庁は会場となるウェストミンスター寺院周辺でイスラム過激派グループが抗議デモを計画していると発表、断固阻止すると宣言した。

 ロンドン警視庁は、ウェストミンスター寺院とその先のパレードのルートを取り締まり区域とし、そこでデモを行うことを禁止する。もっとも、取り締まり区域以外のロンドン各地でデモを禁止する権限はない。

 結婚式当日には、イギリスの要人や海外からの招待客を含めて、数十万人がロンドンに押し寄せると予想される。そのため、この結婚式はテロの標的にされかねない。イギリス当局にとっては、安全保障上の一大事だ。

 イギリス当局は現在、テロ警戒レベルは最高から2番目の「深刻(severe)」に設定している。これは「テロが起きる可能性が極めて高い」ことを意味する。

極右もイスラム過激派に報復を宣言

 ロンドン警視庁がデモを計画しているとして名指ししたのは、イスラム組織「十字軍と戦うイスラム教徒(MAC)」だ。MACはホームページ上で、「ムスリムがロイヤルウェディングを妨害する」と宣言している。

「4月29日のデモでは、イギリス政権と軍、そして英王室がこれまでアフガニスタンで、今ではリビアのムスリムたちに行っている数多くの残虐行為を告発する。王室はこうした犯罪を支持する発言を繰り返し、(軍人である)ウィリアム王子も含めてこの犯罪に積極的に関わってきた」と、MACは警告する。

 一方、極右団体「英防衛連盟(EDL)」はイスラム過激派に対抗するデモを準備しており、必要とあれば実行すると発表した。

 ロンドン警視庁は、挙式当日は厳重な取締り体制を敷くと強調してきた。「ロイヤルウェディング当日に犯罪行為を犯そうとロンドンにやって来る者がいれば、我々は迅速、確実、強固な措置を取る」と、リン・オーウェンズ警視監は語っている。
 
GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏なら強制送還急拡大か、AI技術

ビジネス

アングル:ノンアル市場で「金メダル」、コロナビール

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 7
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 8
    拡散中のハリス副大統領「ぎこちないスピーチ映像」…
  • 9
    中国の「オーバーツーリズム」は桁違い...「万里の長…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 6
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中