最新記事

アフリカ

アフリカを襲うメタボの恐怖

2009年8月28日(金)17時14分
マシュー・バーマン

50年代のアメリカも肥満を気にする人などいなかった

 ナイジェリアのいくつかの部族では、女性を結婚前に太らせるという伝統がある。その女性がより魅力的で健康体に見えるように、との思いからだ。また同国では若い女性が同伴者なしに運動したり出歩いたりすることが禁じられていることも、女性たちの肥満傾向に拍車をかけている。

 これまでアフリカの黒人が心臓病にかかるケースが少なかったため、肥満は問題ないという見方もあった。しかしここ数年、アフリカの黒人の間で心臓病のリスクを高めるとされる2型糖尿病の患者が増加している。

 国際肥満学会によると、南アフリカの黒人のうち8~12%が2型糖尿病患者だ。これに対し、同国の白人でこの病にかかっている人の割合は4%に過ぎない。状況を悪化させているのはアフリカの医師たちだと、コペンハーゲン大学のアストラップは見る。多くの患者が医師から「心配しなくていい、太り過ぎは健康にそれほど影響しない」と言われる。ラジオやテレビも肥満に関する誤った情報を流していると、アストラップは指摘する。

 アストラップにとって、これらはすべてぞっとするほど見慣れた光景だと言う。「50年代のアメリカやデンマークを思い出せば、多かれ少なかれ同じような状況だった。誰も肥満を気にしなかったし、肥満が問題だと考える人はいなかった人」

 しかし特に医療システムが整っていない地域では、こうした状況は問題だ。政府による効果的な介入と社会的認識の変化が必要だろう。そうでなければ、サブサハラ地域に蔓延する肥満は今後数年のうちに悪化し、すでに困窮するこの地域にさらに大きな医療の恐怖をもたらすことになる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ビットコイン下げ止まらず7万ドル割れ、24年11月

ビジネス

米人員削減1月に急増、17年ぶり水準 UPSやアマ

ビジネス

英中銀が金利据え置き決定、5対4の僅差 今後利下げ

ワールド

中国外相、キューバ外相と会談 国家主権と安全保障を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 3
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新世論調査が示すトランプ政権への評価とは
  • 4
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 7
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 8
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 9
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 10
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 7
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中