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食糧価格

パンが安いのは今年が最後?

2009年7月9日(木)14時51分
ケイティ・ベーカー

今年は豊作だが 原油価格の動向次第では再び値上がりも(09年2月、マニラの輸入米倉庫) John Javellana-Reuters

 昨年の今頃は食糧価格が高騰し、世界中でパン騒動が起こったことは記憶に新しい。だが今年はその心配はないらしい。国連食糧農業機関(FAO)が6月に発表した最新報告によると、2年連続となる穀物の大豊作と経済危機がもたらした需要減のおかげで、今年の食糧価格はこのまま安定し続けるという。

 昨年6月のピーク時に比べてFAOの食糧価格指数は3分の2になっており、各国は昨年に比べて食料輸入を2260億ドルも節約できる。最も需要が減ったのは肉と牛乳、魚。この不景気で、消費者が贅沢品の購入を控えるようになったからだ。

 さらに専門家は、今年は穀物が史上2番目の豊作になると予想している(08年が史上最高だった)。世界の穀物備蓄が増えれば、貧しい国が食糧不足に不安を覚える必要はなくなる。豊作はブラジルのような穀物生産国の経済にとってもプラスだ。

 短期的には良いニュースだが、報告書は牛肉と豚肉を除く農産品価格が、今後10年間で97~06年の平均に比べて1~2割上昇するとも指摘している。景気とともに回復した購買力と台頭するバイオ燃料市場によって、農産品価格は08年に匹敵するか、あるいはそれ以上の水準にまで跳ね上がるかもしれない。

 食糧価格は原油とエネルギー価格にますます連動しており、途上国の需要増や資源の枯渇が原因で長期的に上昇すると予想されている。今年は安心して安い値段のパンが食べられる最後の年なのかもしれない。

[2009年7月15日号掲載]

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