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サルコジが狙う次の引き抜き

2009年6月15日(月)15時18分
トレーシー・マクニコル(パリ支局)

クシュネル外相(左)もサルコジに引き抜かれた Vincent Kessler-Reuters

 サルコジ仏大統領は近いうちに内閣改造を行う構えで、またも野党から取り込めそうな人材を物色している。就任以来2年間、保守派のサルコジは社会党の重鎮を要職に引き抜いてきた。サルコジに言わせれば「開放」戦術らしいが、卑劣との批判もある。既に現在、閣僚38人のうちクシュネル外相をはじめ5人が社会党出身だ。

 この戦術には問題がないわけではない。忠実なサルコジ派は「素通り」に憤り、イデオロギーの対立でぎくしゃくすることもある。それでも大統領は、野党側の亀裂を広げるというメリットを重視しているようだ。その思惑どおり、次の離反者は誰かをめぐって早くも噂が飛び交っている。

 フランスでは反対も多いこの戦術だが、海の向こうには賛同者がいる。オバマ米大統領だ。オバマは共和党のさまざまな人物に重要なポストを用意し、共和党内に混乱を巻き起こしている。「開放」と呼ぼうが「超党派」と呼ぼうが、政治家が権力と昇進という餌に弱いのは万国共通のようだ。

[2009年6月17日号掲載]

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