最新記事

移民

1歳の被告が哺乳瓶抱え出廷 こんなことがアメリカで実際に起きている

2018年07月17日(火)17時40分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

米テキサス州の南端、メキシコと国境を接するリオグランデ・バレーで移送されるのを待つ不法移民 Loren Elliott-REUTERS

<出廷したのは、ホンジュラス人の1歳のヨハン君。もちろん彼は自分の意思でここにいるのではない>

ここ数週間、アメリカのニュースメディアでは泣き叫ぶ子供たちが母親から引き離される姿が放送されており、ドナルド・トランプ政権が5月に加速させた「ゼロ・トレランス(不寛容)」政策の余波は凄まじい。

俳優ジョージ・クルーニーと人権派弁護士のアマル・クルーニー夫妻などの著名人、そしてメラニア・トランプ大統領夫人の異例とも言える批判を受けて、トランプは6月下旬に方針転換。今後は一緒に収容することと離れてしまった親子を再会させる対応を発表したが、ここでもまた問題が浮上している。子供達は親の付き添いなしで、退去手続きを行うため移民裁判所に出廷しなくてはならないのだ。

【参考記事】「ダディ、これどうするの?」──不法移民の親子引き離し停止、イヴァンカやクルーニー夫妻が与えた圧力とは

7月上旬、トランプ政権のイメージに致命的な痛手を負わせる法廷が開かれた。

アリゾナ州フェニックス――7月6日にここにある移民裁判所に出廷したのは、ホンジュラス人のヨハン君。年齢はわずか1歳。もちろん彼は自分の意思でここにいるのではない。

父親に連れられて入国したものの、不法入国で父親は逮捕され親子別々の施設に収容。AP通信によると、父親はすでに祖国に強制送還され、1人残されたヨハンは現在、同州の保健福祉省で「保護」されている。送還される際に父親は、息子と一緒に帰れると虚偽の情報を信じさせられたという報道もある。

「恥ずかしさを覚える」

一般的な思考なら、1歳児が「被告」という自分の立場を理解しているなんて到底思えない。判事の呼び出しを待つヨハンは、哺乳瓶からミルクを飲み、ボール遊びをしながらその時を待った。

法廷に出たヨハンは、世話人がオムツ袋を整理するため別の人に託された数秒間泣いた以外は、終始おとなしくしていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか

ワールド

北朝鮮の金総書記、核戦力増強を指示 戦術誘導弾の実

ビジネス

アングル:中国の住宅買い換えキャンペーン、中古物件
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 9

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 10

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story