最新記事

陰謀論

陰謀論のQアノンをSNSで煽るトランプ──1日で50本連投も

In QAnon Renaissance, Conspiracists Feast on Trump-Biden War of Words

2022年9月6日(火)19時25分
アンドリュー・スタントン

議事堂襲撃1周年に「QAnonのシャーマン」に扮した男(1月6日、ニューヨーク) Carlo Allegri-REUTERS

ジョー・バイデン米大統領との対立が激しさを増すなか、ドナルド・トランプ前米大統領はソーシャルメディアで勢いを取り戻しつつある「Qアノン」を煽るような投稿を行っている。

Qアノンは極右の陰謀論集団で、信奉者たちはトランプが大統領として、多くの著名な民主党議員やセレブリティを含む邪悪な小児性愛者の「秘密結社」を逮捕・処罰すると信じている。きわめて信ぴょう性に乏しい説で、これを裏づける具体的な証拠は一切示されていない。

トランプは8月末、自ら立ち上げた新たなソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」上で、数十件の「リトゥルース(再投稿、ツイッターの「リツイート」にあたる)を含め、24時間のうちに50件以上の投稿を共有した。そのうち幾つかは、Qアノン関連のアカウントから発信されたもの、あるいはQアノンの特徴的な言葉が盛り込まれた投稿だった。

トランプがQアノンをここまで直接的に擁護したのは、おそらくこれが初めてだろう。Qアノンの信奉者たちは、しばらく鳴りを潜めていたが、最近はバイデンとトランプの対立に乗じて再び勢いづいている。

FBI、CIA、NSAを批判

今回トランプが共有したある投稿には、「ディープ・ステート(アメリカを動かす影の政府)がトランプ大統領に『お前はストーム(嵐)に耐えられないだろう』と言うと、大統領は『私がストームなのだ』と言い返した」、いう文章が記されていた。Qアノンが言う「ストーム(嵐)」とは、トランプが著名な民主党議員を含む小児性愛者たちの逮捕を命じる瞬間のことだ。「ストーム」の到来はこれまでも何度も予想されてきたが、まだ一度も成就していない。

ウェブメディア「ポリティコ」のカイル・チェイニー記者によれば、トランプは後に削除したとみられる別の投稿の中で、2017年のQアノンのウェブサイトへのリンクを共有していた。

そこには次のように書かれていた。「合衆国憲法のどの条文を使えば、大統領は3文字機関(FBI、CIAとNSA)の捜査を軍部に引き継がせることができるのか。政府の中で唯一腐敗を免れ、大統領に直接仕えるとても重要な勢力が失われてしまった」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ協議の早期進展必要、当事国の立場まだ遠い

ワールド

中国が通商交渉望んでいる、近いうちに協議=米国務長

ビジネス

メルセデス、2027年に米アラバマ工場で新車生産開

ワールド

WHO、成人への肥満症治療薬使用を推奨へ=メモ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 6
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 7
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中